トム・フーバー監督『英国王のスピーチ』

最近はイギリスの小説や映画に囲まれて暮らしている感じ。
1930年代、ジョージ5世が亡くなり、長男のエドワード8世が〈世紀の恋〉で王位から降りて、二男のアルバート王子がジョージ6世(コリン・ファース)として王位に就く。
カズオ・イシグロの「日の名残り」がこの時代のイギリスの政治や紳士階級の暮らしぶりを書いていたなあと思い出した。

アルバートは真面目な人で幼児体験から吃音になった。王様は昔は馬に乗って威厳を見せていたらよかったが、20世紀では演説をしなければいけない。アルバートは王の代理の演説をしたラジオ放送でしくじる。妻のエリザベス(ヘレナ・ボナム=カーター)は言語療法士のライオネル(ジェフリー・ラッシュ)を見つけて夫といっしょに治療に行く。
ライオネルはオーストラリア人でなにも資格を持たず自分の経験で治療をしていた。第一次大戦のときの戦闘神経症に苦しむ元兵士を治療した自信がある。
葛藤を抱えたアルバートだが、過去の話をしたり体を動かしたりしているうちに二人の間に友情が芽生える。
王位につきジョージ6世となり戴冠式にのぞまなければならない。ローグを呼んだ王にカンタベリー大主教はイギリス人の専門家をつけるというが、しりぞけてローグとともにやりぬく。王はそのときのニュース映画を家族とともに見る。家族というのは娘のエリザベス(いまのエリザベス女王)とマーガレット(華やかだったマーガレット王女)である。
ドイツのポーランド侵攻を受けてドイツを敵にした第二次世界大戦がはじまる。王は大英帝国全土に向けて緊急ラジオ放送で演説する。放送室ではローグと二人きりで完璧な演説をする。放送室から出てきたジョージ6世は家族とともに宮殿のバルコニーから手を振る。

コリン・ファースはいつ見てもなに見てもええわ。
妻のエリザベスがとても人間味があってよかった。仲のよい夫婦やったんやな。
メアリー王太后をクレア・ブルームがやっている。最初の映画チャプリンの「ライムライト」(1952)からだから、すごい長い女優人生だ。
2010年のイギリス映画。