関西翻訳ミステリ読書会の課題書を早めに買って読んだ。アーロン・エルキンズの本を読むのは5年ぶりで3冊目になる。5年前の2008年に読んだ「骨の島」の感想に「古い骨」を読んだことがあると書いているが、それは間違いで、「暗い森」を読んだのだと思う。たしか友だちと話していて、彼女が持っていた本のモン・サン・ミッシェルの写真について話した覚えがある。「モン・サン・ミッシェル、絶対に行くからね」と彼女は言った。阪神大震災前のまだバブルが消えてないときだった。その後、彼女の仕事も泡と消えてつきあいも切れた。そんなことを思い出しつつ読んだ。1冊の本にもいろいろまつわる話がある。
妻のジュリーと結婚して熱々の(13冊目も熱々だが)人類学者ギデオン・オリヴァーは、一片の骨から真実を暴き出すことができる人である。そして彼が出かけると〈骨〉がある。
今回はモン・サン・ミッシェルの島で〈国家警察北海岸地方犯罪捜査部〉のジョリ警部が出席している司法人類学の講習に、ギデオンが講師として参加している。今日はプルターニュ地方ではあいにく白骨死体のからんだ殺人事件がないので標本を使うとギデオンは話し始める。
ところが、古い屋敷での晩餐会のあと、すぐに地下室で紙にくるまれた白骨が見つかる。
今朝方、満ちてきた潮に引きずられて死んだ老人の死に方もおかしい。
過去の事件と今日亡くなった老人と、遺産相続の件で集まった人たちと、事件に首をつっこんだギデオンとアメリカ人のFBIのジョンはジョリ警部と協力して真犯人を追いつめる。
(青木久恵訳 ハヤカワ文庫)