蚕起きて桑を食む

【5月21日〜25日頃は、七十二候『蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)』。カイコが桑をさかんに食べはじめる時季です。】と暦のサイトにあった。それで昨日は皇室のカイコのニュースがあったのか。

わたしの母の実家は農家で養蚕もしていた。泊まりに行ってて朝方まだ寝ているときに叔母はすでに桑の葉を収穫して蚕に与えていた。屋根裏部屋の台の上でサラサラと桑を食べる蚕の音が聞こえてきた。白くてぐにょぐにょしていてわたしは気持ち悪くてよう掴まなかった。

蚕はいろんな過程を経て糸になり布になった。というのは叔母が織った布で母が縫った羽織をこの冬愛用したから思い出した。去年の秋に姉の箪笥の中で長いこと眠っていた綺麗な縞の羽織を見つけてもらって帰った。セーターの上に着るととても暖かい。
色が田舎っぽいのがいま見るとかえっておしゃれだ。叔母が機を織っていた姿を思いだす。いろんな色の縦糸が二段にセットされていて横糸をその間に通していく。その速さと正確さに圧倒されて本気で「あたしはおとなになれない」と思った。超不器用なので無理無理といまも思う。いまもおとなになれないままの女である。
母も叔母もとうに亡くなって家は建て替えたようだし、わたしはあれ以来何十年も行ったこともないし。
従姉妹に桑の実を取って食べるのを教わった。あれはうまかったなあ。