ほとんど日本映画を見ないできたから、機会があればできるだけ見たい。いま見たばかりの「新・平家物語」(1955)は大好きな市川雷蔵が清盛をやっている。母の泰子(木暮実千代)は祇園の白拍子出身で白河上皇の寵愛を受けていたが妊娠し、上皇の意向で清盛の父の忠盛の妻となる。清盛は忠盛の嫡子として育ったが、実は上皇の子とわかり苦悩する。
清盛は貧乏貴族の娘でてきぱきした時子(久我美子)に惹かれて結婚する。なんやかやと断片的な知識がある時子夫人とはこうして結ばれたのかと納得。久我美子さん清潔感があふれて美しい。
木暮実千代の胸の谷間がきれいで色気が充満していた。胸の谷間をちらと見せて上着を羽織るのはいまも同じ。
市川雷蔵は優しい顔つきを太いゲジゲジ眉毛にして逞しい男に見せていた。貴族社会の終焉とこれからくる武士社会のはじまりの時代を生き抜く勢いを感じさせてよかった。
原作(吉川英治)を読んでないし、テレビドラマもほとんど見ていないし、いい加減な歴史の知識しか持っていなかったからおもしろく見た。比叡山のシーンといい、牛車がゆったり歩く京の道といい、それぞれの屋敷の佇まいといい、豪華なロケやセットで映画製作にまだ力があった時代。