吉田喜重監督・石坂洋次郎原作『水で書かれた物語』

これから当分は吉田喜重監督の映画を見ていこうと思う。いままで見たのは「秋津温泉」「エロス+虐殺」「嵐が丘」。昨夜見た石坂洋次郎原作「水で書かれた物語」(1965)は「秋津温泉」の次の作品である。
信州上田で撮影されたということで、上田に住んでいる友人を思い出しつつ見た。大阪市内にいると周囲がビルだらけで、たまに京都へ出ると東山が見えてうれしくなる。昨夜もそんな感じで山が見えるところに住みたいなとちらっと思った。

父(岸田森)が結核で早く亡くなって、華道を教える母(岡田茉莉子)と二人で暮らす息子(入川保則)は銀行に勤務している。母はずっと昔から実業家の山形勲と関係があった。山形の娘(浅丘ルリ子)は積極的に入川に近づき結婚にいたるが、入川は鬱々としている。こどものとき母が山形の家に通うのを見ていたからだ。もしかして自分と浅丘は兄妹ではないかと疑問を持つ。
着物姿で白いパラソルをさして歩く母の姿を追った日を忘れられない息子。
いまも母はバラの刺繍のある白いパラソルをさしているが、入川が浅丘ルリ子と泊まった日に温泉の中庭の窓際に干してあるパラソルを見てしまう。
父と母の乗った車は事故を起こして止まっていて父は死んでいた。
若い二人は母を探して湖に出る。やがて母のパラソルが浮かんでいるのを発見。
病気の父親を演じている岸田森が美しかった。