酒井隆史『通天閣 新・日本資本主義発達史』を読み出した

図書館から半月以上借りていて最初の章だけ読んだまま置いてあった。実生活が遊びもネットも含めていそがし過ぎ。25日返却なのでいそいで読まなくちゃ。さいわい読みやすいのでいけそうだが、とにかく厚い本で734ページもある。いま210ページ。

序に小野十三郎の詩「秋冷の空に」が引用されている。そこには通天閣が〈大阪の灯台よ〉とうたわれている。わたしは20代のときに小野十三郎の詩集「大阪」を愛読していた。働いていた西淀川区の地名が出ていて、わたしはその道を詩にそって自転車で海へ向かって走ったことがあった。「姫島や千船ではあらゆる道は海に向かってはしっている」といまはうろ覚えだが、通勤時に神崎川の堤防を歩きながらつぶやいていたこともあった。川が海にそそぐところに立っている夢をいまも見るくらいだ。
小野十三郎というひとをそれきりしか知らなかったが、本書で生い立ちや生き方を知っておどろいた。もっていたイメージと違う。まず大きな勉強をした。

第一章が「ジャンジャン町パサージュ論」で新世界を語っている。わたしは新世界やジャンジャン横町と縁があると自分で思っている。こどものときは浅草育ちの父親があのあたりが好きでよく連れて行ってくれた。難波へ出て日本橋の古本屋をめぐって新世界へと歩いた。70年代には旭町のジャズ喫茶マントヒヒの常連になっていて、夜中に店を出て映画を見たり飲んだりした。
本書では新世界の歴史を細かく語ることで、大阪の資本主義初期のころのうごめきを語っている。いまわたしはスリリングな読書体験をしている。
(青土社 3600円+税)