レジナルド・ヒル『武器と女たち』を買って読んだ

さっき「武器と女たち」三度目を読み終えた。最初に読んだのは2002年で次に読んだのは2007年、2回とも図書館の本だ。今回はアマゾンの中古本で最後の4冊を買った。これで翻訳された本はみんな持っていていつでも好きなときに読める。箱に入れてしまうと取り出すのが面倒なので、本棚を整理してずらりと並べようかと考え中。いまのレジナルド・ヒル熱がそのままいくとすれば本棚でないとややこしい。
いま気がついたが5年おいての三回だ。いまや全册読んで(持って)いるから余裕である。シリーズの前のほうに出てきた登場人物がさりげなく出てくるのを楽しめるのもベテラン読者ならでこそ、えへん(笑)。

エリーとダフネ・オールダーマンは階級をこえて仲が良い。ダフネは「薔薇は死を夢見る」で知り合った資産家の妻である。今回は何者かに狙われたエリーを娘のロージーと犬のティグ(この犬も最初は「ベウラの頂」に登場、ウィールドが引き取って連れて帰り、病気が治ったロージーの友となる)ととも海辺の別荘に招待する。

ドクター・ジョー・サウデンは「死にぎわの台詞」で知り合った医師である。お互いに忙しくてぎすぎすするが、最後には今日は帰りにいっしょに飲みましょう、となった。それから仲良くなっていたのね。ここではダフネがエリーにかかわって怪我をし入院したときに出てくる。

このシリーズは登場人物がゆっくりと年を取っていく。それでも16冊目となればピーターは主任警部となり、エリーは本が最初の本が出版される手はずとなる。ふたりの娘ロージーは学校に行っている。それなりに貫禄がついているのを、若いシャーリー・ノヴェロ刑事はエリーとダフネを〈おばさん〉(ダフネは裸で海で泳ぐおばさん、エリーは詩を朗読するおばさん)としか認識してない。

ダフネの夫パトリックは薔薇と植物に精通している。別荘名の〈ノーズブリード・コテッジ〉が〈鼻血〉を意味することについてうんちくを傾ける。ノコギリソウのことを〈ノーズブリード〉という。その葉を鼻に入れると鼻血が出る。それが愛が本物がどうか確かめる方法なのだ。こんな話をエリーにする。
〈ノーズブリード・コテッジ〉に行って外で犬と遊んでいたロージーは、知らない女性から花束をもらう。エリーが見るとそれはノコギリソウだった。そこでエリーは詩を暗唱しノヴェロにいやがられる。
最後の一節は【わたしはすべての男を傷つけ、一人の男もわたしを傷つけることはない。】これはノコギリソウを摘むときに唱えるゲール語の呪文だとパトリックは教える。すごいなあ。
(松下祥子訳 ハヤカワポケットミステリ 1800円+税)