ナンシー・アサートン『ディミティおばさまと貴族館の脅迫状』

毎度Sさんに貸していただいているディミティおばさまのシリーズが7冊目になった。1年半経たないうちに7冊だから人気があるのね。たしかに嫌みがなくて読みやすい。
主人公のロリはいつも美男子とあやうい中になりかけるが、事件を片付け最後には優しい夫のビルのもとへもどる。
ロリはシカゴの労働者階級の生まれだが縁あってイギリスへ渡り、弁護士の夫ビルと双子の男の子とコッツウォールドに住んでいる。遺産を遺してくれたディミティおばさまは、ロリがひとりでいるときにノートを開くと流麗な文字で意見を書くという行為で存在する。
今回は隣家に住むエマが突然ロリのところへやってきたところからはじまる。

エマの夫デレクは前の妻を亡くし二人の子どもがいる建築家で、アメリカ人のエマとは二度目の結婚である。デレクは実は貴族の跡継ぎだったが父親に背いて自立していたのをエマに話していなかった。今回父のエルスティン伯爵に招待されたので行かねばならない。エマはロリにいっしょに行ってほしいと頼む。ビルは三カ月前から伯爵のアメリカでの事業の顧問弁護士になっているのでロリはいっしょに行くことにし、エマとロリは大慌てで衣装や持ち物を整える。

英国のお屋敷というと、わたしは映画「レベッカ」を思い出す。門を入ってからうねうねと車で行くと大きなお屋敷が見えてくる。ドロシー・L・セイヤーズのピーター卿のお屋敷もそうだったなぁ。まあ、そういう屋敷に到着し、それぞれの部屋に落ち着く。ロリはさっそくデレクのいとこサイモンと気が合う。サイモンの妻のジーナは伯爵の顧問弁護士として屋敷にいる。
(朝月千晶訳 RHブックス+プラス 820円+税)