レジナルド・ヒル『死にぎわの台詞』

「社交好きの女」「殺人のすすめ」「秘められた感情」「四月の屍衣」(※この間に未訳が2冊ある。読みたい!)「薔薇は死を夢見る」に続いて「死にぎわの台詞」ということになる。
ジュンク堂で見つけてまだ未読本があったと喜んで買ったら図書館で借りて読んでいた。3人の老人の事件だから地味だけど、いろいろと考えさせられる。

ある寒い11月の夜に3人の老人が死んだ。パリンダー(71歳)は4時間近く氷雨に打たれていたが最後に暖かい濡れたものの感触で目を覚まし「ポリー」とひとこと言って病院へ運ばれたが到着時死亡した。同じころディークス(73歳)は自分の家の浴室で亡くなった。彼の最後の言葉は孫の名前「チャーリー」だった。ウェスタマン(70歳)は自転車に乗ってパラダイスロードを走っていて車にはねられた。病院での最後の言葉は「パラダイス! 運転してたやつ・・・あのふとっちょ・・・酔っぱらいめ!」だった。問題の車にはダルジール警視が乗っていた。しかもいかがわしい馬券屋といっしょだったし、車に乗るときも見られていた。

その夜、ピーター・パスコー主任警部とエリーは娘ローズが初めて迎えた誕生日をワインで祝っていた。そこへウィールド部長刑事から電話がかかる。「えい、クソッ!」パスコーは言った。「クソッ!クソッ!クソッ!」パスコーは出かけてウィールドと捜査をはじめる。
捜査中に、エリーの父の様子がおかしいことを母からの電話で知り、エリーはローズを連れて両親の家にいくことにする。認知症がだんだん進んできた父と疲れた母、エリーとパスコーも老人問題に否応なく直面する。
(秋津知子訳 ハヤカワポケットミステリ 1500円+税)