レジナルド・ヒル『幻の森』再読

旧日記から最初の感想〈レジナルド・ヒル「幻の森」〉をこちらのブログに移したので内容などはそちらへ。

今回本書を再読して第一次大戦に巻き込まれた人たちのことを解き明かそうとするレジナルド・ヒルの意気込みを感じた。パスコー主任警部は曾祖父の生まれと育ちとそして戦争での死の真相を徹底的に調べる。小説であるから曾祖父の死といまヨークシャーで起きている事件は結びつけられるが、ヒルは第一次大戦の反省がまだ終わっていないというか、まだ引きずっていることを書こうとしたのかと思う。

第一次大戦というと1914年と思い出す。中学のときに読んだロジェ・マルタン・デュ・ガールの「チボー家の人々」1914年夏。エーリッヒ・マリア・レマルクの「西部戦線異状なし」は姉たちがさわいでいたのでよくわからなかったが読んだ。ヴァージニア・ウルフの「ダロウェイ夫人」は小説と映画で。そして、ドロシー・L・セイヤーズのピーター・ウィムジイ卿は戦争体験の記憶に悩まされている。フランソワ・トリュフォー監督の「突然炎のごとく」。
(松下祥子訳 ハヤカワポケットミステリ 1700円+税)