ナンシー・アサートン『ディミティおばさまと村の探偵』

優しい幽霊シリーズの6冊目。このシリーズの約束事はすでに亡くなっているディミティおばさまとの会話。ロリの周辺になにごとかあって相談したいときや行き詰まったときにノートに書くと、旧書体の文字で返信が書かれる。ロリのこども時代の孤独の友であるぬいぐるみ、うさぎのレジナルドは古ぼけもせず。

ロリはディミティおばさまがコッツウォルズのフィンチ村に遺してくれた家に夫のビルと男の子の双子と住んでいる。年明けにビルの実家のボストンで3カ月間過ごして帰ってきたところだ。ビルはロンドンで仕事中。
帰って早々に牧師夫人がやってきて甥のニコラスの面倒を見てほしいと頼む。先日この村に住んで3カ月のフーバーさんが殺されたという。この村の住人たちの間にはウワサがどんどん広がるのだが、誰も殺された人を気の毒に思っていない。それほど人に好かれない女だった。
そのあと隣家の厩舎長キットが馬を飛ばしてやってきた。キットは村人から殺人事件の犯人と指差されていると語り、疲れ果てている。キットがくつろいでいるとニコラスが来る。ニコラスのことをこどもだと思っていたら立派な大人だったのロリはびっくり。
なんやかんやでロリとニコラスは一緒に犯人探しすることになるが、村人は不倫のウワサをするし、ロリ自身もまんざらではないところもあり、読むほうはまたかと(笑)。
(朝月千晶訳 RHブックス+プラス 800円+税)