ロバート・クレイス「天使の護衛」(2)

パイクはラーキンを連れて私立探偵コールのところに行く。お腹が減っているとラーキンは言って風呂に入った。コールはサンドイッチを作る。ズッキーニとペポ南瓜と日本茄子を縦に切ってオリーブオイルと塩をふりグリルパンにのせて火を通す。奴らは5回ラーキンを殺そうとした、とパイク。居場所がだれから漏れているのか調べてみるとコールはいう。全粒小麦パンに野菜を重ね、ひよこ豆のペーストを塗ると、サンドイッチをグリルパンに戻しパンをぱりっと焼き上げた。風呂から出たラーキンは、わたしがベジタリアンだとどうしてわかったの? コールはパイクのためにつくったんだよと答えた。彼もベジタリアンなんだ。◎ここんとこ好き。(90〜97ページ)

パイクとラーキンがサンドイッチを持って新たな隠れ家に去ったあと「もしあの連中がおれの素性を知ったら、おまえさんを通じておれを見つけだそうとするかもしれない」とパイクがいった言葉を思い出す。コールは心のなかでつぶやいた。くるならこい——こっちもあんたの背後を援護してやるぜ、兄弟。◎まるで「昭和残侠伝」だ。(97ページ)

パイクはリビングの暗闇の中で機械的に腕立て伏せを繰り返しながら夜が過ぎていくのを待った。ハイのままでいるんだ〈ステイ・グルーヴィー〉。(110ページ)◎ハイのままでいる!ステイ・グルーヴィー! カッコいい!

ラーキンについてパイクがいう「きみは見られていないと感じている。誰にも見えなければ、きみは存在しない。だからきみは見られる方法を探すんだ」「わたしは11歳のときから心理セラピーを受けているのよ。あなたは3日間しかわたしのことを知らない。驚いたわね。わたしってそんなに見えみえ?」(327ページ)◎その後のお互いの父親に対する観察になるほどと思った。これじゃ恋に落ちて当たり前。
(村上和久訳 武田 ランダムハウスジャパン 950円+税)