目下、気分は健さんで、肩で風切って歩く気分(気分だけですが)。そして池部良の美しさに溺れている。この映画は封切りで見ていた。傘をさしかけるシーンの美しさは覚えていたとおり。
シリーズ2作目「昭和残侠伝 唐獅子牡丹」(1966)は昭和初期に舞台を設定している。1作目は戦後だったが戦前の雰囲気が濃厚だったから、ぴったりの時代設定だ。
花田秀次郎(高倉健)は宇都宮の左右田組の客分だったが、自分の弟分(津川雅彦)の恋人が左右田組の息子に惚れられて困っているので駆け落ちさせる。話を通しにいくとその代わりに榊組の親分、秋山(菅原謙二)を斬るように頼まれて殺す。折り目正しく死んで行く秋山に秀次郎は襟を正す。
榊組は石材掘りの請負業をしているが、左右田組はすべてを分捕ろうと画策している。組長は元は榊組の人夫だった。
3年後に刑務所から出てきた秀次郎はまず秋山の墓参りに行くと、秋山の子どもがいてなついてくる。そこに秋山の妻(三田佳子)が来るが秀次郎は名乗れない。その後は左右田組の悪行を知ってなにかにつけ榊組に味方する。
榊組にアジア諸国を放浪していた畑中圭吾(池部良)がもどってきた。秀次郎と対決しようとするがひとまずとどまる。
そして我慢の緒が切れた秀次郎が左右田組に向かおうとすると、畑中がいた。彼の差しかけた傘の下で巻いてあった布から刀を取り出す秀次郎。雪が降る道を行くふたりの姿に主題歌がだぶる。
「昭和残侠伝 唐獅子牡丹」全9作の土台がここに決まったという感じ。1作目はこれ1本だけという気持ちがあったろうが、この作品ではシリーズにしていく気持ちがある。それにしても主題歌がなんていいのだろう。斬り込みのシーンにびたっと決まって高揚感がいやが上にも盛り上がる。