シャンナ・スウェンドソン『コブの怪しい魔法使い』

「(株)魔法製作所」シリーズ第4作は3冊目までのニューヨークからケイティの故郷テキサス州コブへ移動する。ニューヨークでの悪い魔法使いとの戦いで、自分の存在がオーウェンの仕事の邪魔になったことで、ケイティは身を引いて故郷へ帰る。
家族が経営するテキサスの小さな町の農業用品店を手伝いながら、両親と祖母と個性豊かな三人の兄とその妻たち、その子どもたちと賑やかな毎日を過ごしている。旧友のニタとも久しぶりにゆっくり話し合う。家族も友だちもみんな激しいうちにもおおらかな南部的性格をうまく書いていると感じた。

ところが奇妙なものが見えたり不思議なことが起こりだし、母親がヘンなものを見て失神するまでになる。ケイティの一家は魔法にかかわる血筋であるらしい。おかしく思ったケイティはニューヨークの代表に報告すると誰かを派遣するという。出張してきた警備担当のサム(ガーゴイル=怪物をかたどった彫刻。主として西洋建築の屋根に設置され、雨樋から流れてくる水の排出口としての機能を持つ)が屋根の上から舞い降りてくる。二人はコブの町の悪い魔法を使う者を探そうとする。

そこへケイティのボーイフレンドとしてオーウェン登場。母親が家に泊まるようにすすめる。二人は昔ケイティや兄たちがしていたように、2階のポーチから木を伝って降り、夜のしじまに出て悪い魔法使いと対決する。なんと次男のディーンが事件にからんでいたのがわかる。

オーウェンの体力を使い切った活躍で事件は解決。おばあちゃんが大活躍。
オーフェンが帰った後、残っている娘に封筒を差し出し父親がいう。これでニューヨークへ帰る切符を買いなさい。ネットで調べるとなぜか飛行機には自分の席がとってあった。ニューヨークに着くと赤いハイヒールを片方持ったオトコマエが立って待っていた。めでたし、めでたし。
(今泉敦子訳 創元推理文庫 1080円+税)