サラ・パレツキー『カウンター・ポイント』(1)

待っていた本が2016年の終わり12月20日に出版された。早川書房の宣伝に〈元恋人から依頼を引き受けた探偵ヴィクは、二十五年前に起きた殺人の真相を追う。事件の裏に潜む巨大な闇とは!? 待望の最新刊〉とあったので、25年前の恋人って誰だろうとVFC会員とメールのやりとりをしたが、思い浮かばなかった。彼女もわたしもコンラッドが好きなんだけど、彼は警官だから頼みには来ないし。金額表示(1400円+税)を見て分厚そうやなという意見も出てたが実際分厚い(622ページ)。

ヴィクシリーズ17作目『カウンター・ポイント』を読み終えた。1回目はささっと、2回目はていねいに読んだ。ハラハラさせられておもしろかった。いくつになってもヴィクは頑張るんだ。
前作『セプテンバー・ラプソディ』(2015年発行)はロティをめぐる物語でヴィクの奮闘はもちろんあるけれど、物語は格調高く、第二次大戦の前にヨーロッパで学び研究に励んだ女性科学者の物語でもあった。

今回は最初から最後までサウスシカゴの風が吹き荒れる。徹底的に頑張るヴィク健在。
ヴィクの事務所に突然やってきたのは25年前の恋人フランク。ヴィクが10代のときちょっとだけつきあったが彼がベティと仲良くなって終わった。
いまも昔と同じサウスシカゴに住みトラックの運転手をしている。シリーズに登場するのは初めての人だ。彼の依頼は自分の母親ステラのこと。ステラは25年前に実の娘アニーを殺した罪で服役し2カ月前に出所したところだ。いまも「殺したのは自分ではない。誰かにハメられた」と言い続けている。フランクはなにかあるかもしれないから調べて欲しいと頼んだ。ステラはいやな女でそんな調査などヴィクはやりたくない。しかし頼まれたら断れない性格だから(いままでの作品と同じように)しぶしぶ探ってみると返事する。
(山本やよい訳 ハヤカワ文庫 1400円+税)