ジャン・コクトー監督『美女と野獣』

偶然古書アオツキ書店で手にしたジャン・コクトー「美女と野獣 ある映画の日記」を読んだらおもしろくて映画を見たくなった。たしかDVDを持っているはずと探したらお気に入りの数枚といっしょに大切にしまってあった。最初に見たのはかなり昔でNHKのテレビ画面に震え上がるほどに感動したのだった。いまもその場面は脳裏に焼き付いている。
ずっと後になってからレーザーディスクを買ったときはうれしかった。そしていまはDVDがある。

「美女と野獣」は大好きなおとぎ話である。「ろばの皮」とともにこどものころから大好きで、いま持っているのは澁澤龍彦が訳した本で美しい日本語で読めてしあわせだ。

土曜日の深夜にひとりウィスキーを手にパソコンの前に座り、70年の歳月を経た映画を山ほどの製作中の苦心を思いつつ見ていた。人間が美しく、風景が美しく、光と影が美しい。
美女ジョゼット・デーがなんともいえず美しい。野獣で王子そしてベルを愛する近所の男を演じるジャン・マレーは美しくて声が独特。
野獣の城で壁から突き出た人間の腕が支える燭台の数ある蠟燭のゆらめき、部屋のあちこちに置かれた胸像は向きを変えたり微笑んだりする。ドゥドゥ扮する狩りの女神ディアーヌの像は矢を射る。美しくてファンタスティック。
日記を読み映画を見たあとで検索したら、いろんな記事や解釈が出てきて勉強になった。
「La Belle et La Be^te」1946年フランス映画
監督・脚本;ジャン・コクトー 原作:ボーモン夫人 撮影:アンリ・アルカン 音楽:ジョルジュ・オーリック