『今、ふたたびの京都 ー東山魁夷を訪ね、川端康成に触れる旅ー』

去年の春先に久しぶりに京都へ行った。2016年3月27日、京都カライモブックスで山田真さんを囲んでお話を聞く会。公害問題や福島のこと、子どもの不登校についても話され聞き手からも活発な意見が出た。Yさんと一緒に行って終わってからも雑談したりして夕方引き上げた。帰りはYさんの車で京都駅まで送ってもらい、持っていた本を貸してあげた。川端康成『古都』は朝日新聞に連載された作品で、わたしは連載当時から愛読し、持っている本が古びると新しく買ってきた。京都へ行くときはバッグに入れておく。その日も行きしの電車で読んでいた。主人公の千恵子がものすごく好き。

あの日帰り道でふと思いついてYさんにお貸しした。宅急便でもどってきたときいっしょに入っていたのが本書と佐野洋子さんの『ヨーコさんの“言葉” それが何ぼのことだ』の2冊、お菓子も入ってたっけ。すぐに読んだのだが、返すのはいつでもいいと言ってもらえたのに甘えていままで借りっぱなしだった。そのうちなにかお礼の品をと思っているとよけいに返しにくい。
昨日ようようYさんが気に入りそうなものが手に入ったので、ようやくお返しできる。

さて、くちゃくちゃと前置きだけですんでしまいそうだ。本のことも書かなくっちゃ。
本書には東山魁夷の絵に飾られた川端康成の作品からの抜粋が載っている。小説は『古都』『美しさと哀しみと』『虹いくたび』の3冊の主人公たちがその場所を訪れて交わす会話が主になっている。
わたしは3冊とも読んでいるし、読むとその情景が目に浮かぶ。昨日と今日は開いては読み、開いては絵を眺めてその場にいる気分になっていた。
川端康成と東山魁夷の京都が素晴らしい。美しい女性が映える美しい京都。Yさん、この本を貸してくれてありがとう。
(求龍堂 1800円+税)