アン・リー監督『ブロークバック・マウンテン』を再び

アカデミー作品賞に『ムーンライト』が選ばれたことで『ブロークバック・マウンテン』(2008)も『キャロル』とともに話題になった。
実は去年の1月どんな映画かも知らずに見て衝撃を受けた。激しい男性どうしの愛の映画だった。すごく強烈な愛のかたちにくらくらした。

ワイオミング州ブロークバック・マウンテンの山の中で羊の放牧を行う季節労働者として雇われた青年イニス(ヒース・レジャー)とジャック(ジェイク・ジレンホール)は寒さを避けて入ったテントの中で抱き合う。
これが20年にわたる途切れ途切れの愛の生活の発端だった。
二人ともいい相手と結婚し子供が生まれたものの、お互いを求める気持ちを断ち切れない。ジャックは牧場をやって男二人でいっしょに暮らそうと誘うが、イニスは子供のときにリンチにあって殺されたゲイの男性の死体を父親に見せられたことがあり、ジャックとの関係を隠し続けようとする。妻にジャックと抱き合っているところを見られ、釣り旅行に行くと騙して山に行ったのもばれて、ついには離婚されてしまう。一人暮らしになってもイニスの気持ちは変わらない。

ある日、ジャックに当てたハガキが「死亡」のスタンプを押されて戻ってきた。ジャックの妻に電話すると事故で死んだというが、イニスはジャックが男たちに襲われて殴り殺されたと推察する。
イニスはジャックの両親に会いに行きジャックの遺言に従って遺灰をブロークバック・マウンテンに撒きに行くというが、父親が家の墓に入れると断る。ジャックの部屋に入れてもらって彼のシャツと重ねられた自分のシャツを見て涙するイニス。