ルース・レンデル「薔薇の殺意」

ルース・レンデルを読んだことがないなんてミステリファンと言われへんね。
「ミステリマガジン」に載った短編を読んで、肌に合わないというかいけずっぽい人だという印象を持った。今回、ディケンズをお貸しした友人がイギリスつながりということで、5冊どばっと貸してくださった。彼女はちょっと前にP・D・ジェイムズの新刊を貸してくれた人だ。わたしはダルグリッシュ警視に夢中になって図書館へ行き、全部で6冊読んだ。まだ読んでない本をいつか読むつもり。

さて、ルース・レンデル、まず「薔薇の殺意」(1964)を読んだ。タイトルが気に入ったのとレジナルド・ウェクスフォード警部ものの最初の作品なので、ちょうどいいと思って。「薔薇の殺意」というタイトルは原題とはかけはなれているが、中に出てくるスウィンバーンの詩「愛が薔薇の花ならば」にしたら恋愛小説みたいなので、こういうことになったと解説にあった。たいていは原題のほうがいいと思うけど、今回はこれがいい。

ロンドン近郊の町に住む人妻マーガレットが行方不明になる。〈ヒールの低い靴、お化粧っ気なし、きちんとパーマをかけて、ボビーピンで髪を留めて〉という平凡な女性である。ウェクスフォード警部とバーデン刑事が捜査にあたり地味な聞き込みを続けているとき、森の中でマーガレットの死体が見つかる。調べていくうちに上流家庭間の不倫が浮かび上がったりする。
マーガレットの家を調べると立派な装丁の本が何冊もあった。本にはドゥーンという署名があり活字体でミナ宛に献辞が書いてある。彼と彼女と想定して、学校時代の仲間たちから過去の事情を聞き出していくとおどろくべき事実が・・・。
(深町真理子訳 角川文庫 420円)