海野 弘「プルーストの部屋『失われた時を求めて』を読む」を読む

暑くても本は読んでいたけど、涼しくなると厚い本を読もうという気になる。海野弘さんの「プルーストの部屋『失われた時を求めて』を読む」を出してきた。1993年に出た本で何度か読んでいるのだが、時を隔てて読むとまた新鮮に読める。
わたしは井上究一郎訳の「失われた時を求めて」を二度読み、三度目は挫折したままなのでなんとか完読したいのだが、こんな生活をしていたら無理だ。それで本書で気を紛らわそうと思ったのだが、この本は「失われた時を求めて」を読みたくさせる本でもあった。ああ、どうしよう。

いまは出ていない女性誌「マリクレール」に連載されていたものである。もう亡くなられたけど名編集者で知られる安原顕さんが編集長だった。安原さんに「好きなだけやれ」と言われて延々4年間続けた労作である。美しい写真とともに毎月読むのが楽しみだった。

1980年代後半から90年代のはじめはどんな時代だったろう。雑誌が輝いていた最後の時代だったのかしら。個人的には音楽から去って猫の時代だったなぁ。音楽関連の若い友人たちが東京へ行き、わたしらは猫と家でレーザーディスクで映画を見ていたんだわ。ソニーの大画面のテレビを買って、そうそうプロ野球も見てたんだ。ちょっと年代表をつくってみたくなった。失われた時を求めて。思い立ったが吉日だエクセルでkumiko年表の骨組みをつくった。徐々に書き入れていく。
(1993年初版発行 中央公論社 4500円)