天神祭の思い出

こどものときの夏祭りの日は母親が浴衣でなく絽の着物を着せてくれた。薄い水色の地色に白と赤で柄が描かれていてすごく好きだった。いまもその薄い色合いを覚えている。手にはうちわでなく扇子を持たせてくれた。いまは着物は着ないけど扇子は好き。持ち歩いていて使うことはないけど、秋草模様の扇子をバッグに入れている。扇子には好きな短歌を書いてあるが字が下手なので人さまに見せられない。

お祭りが大好きで豊中市に住んでいたときだって、阪急電車に乗っていまは亡き姉に天神祭に連れて行ってもらった。氷スイカをおごってもらったのも懐かしい思い出だ。
それから10数年経って会社勤めをするようになったがお祭りはやっぱり行かなきゃ。浴衣と下駄をバッグにいれて出勤し、帰るときに会社に住んでいる管理人の奥さんに浴衣を着せてもらった。そしてコーラスや学習会で一緒だった男女数人連れ立って天神祭に行った。わたしが自分で彼氏と思ってた彼は、おとなしい女子と一緒に歩いている。そのとき彼らは仲良くなったみたいでその後結婚し、わたしはあっというまに失恋していた。
ここに住み始めたころは花火が見えたが、10年くらい前からは音だけ聞こえて見えなくなった。いまは音も聞こえない。ラジオのニュースで天神祭による交通規制を告知しているのを聞きながら、今日は天神祭か〜というてるだけである。
熱いコーヒーを淹れて飲もうかな。冷蔵庫にチョコがあるし、本棚にはワイルドターキーがある。