思い出いろいろ 第3回

 

東京の思い出 その4 土手と富士山と

五反田の家のそばに土手があったと覚えているのだが、どこへつながっているとか、そこだけ高くなっていたのかとか全然覚えていない。ただ坂をあがれば高いところにいけて、そこから富士山が見えたのだけ覚えている。夕日と富士山という陳腐な風景があたまに残っていて、もしかしたら漫画の一コマではないかと思ったりするけど、確かに見えてたように思う。それといっぱい生えてた猫じゃらし。

散歩の好きな一家で両親と姉二人と兄二人がぞろぞろ連れ立って歩いていた。その次にわたしと弟がついていた。もう一人弟がいたのだが、ジフテリアに感染して次兄とわたしが入院して助かったときに入院しないうちに亡くなった。いつもきょうだい7人といっているが、実は幼くして亡くなった弟がいてきょうだい8人だった。末の弟は赤ん坊がいたっけというくらいの記憶しかない。末っ子の妹は大阪に引っ越してから生まれた。
東京の家のことはほとんど覚えていない。ジフテリア菌が記憶をとばしてしまったのかも。入院のことはよく覚えていて、東京の記憶はジフテリアの入院にまつわることばかりだ。