ローナ・バレット『本を隠すなら本の中に』

先日心斎橋へ出たときに東急ハンズ地下の本屋さんに寄って買った。目的なしでぶらぶらして衝動買いしたのは、『現代思想1月臨時増刊号』(特集:パリ襲撃事件)、澁澤龍彦『幸福は永遠に女性だけのものだ』(河出文庫)、ローナ・バレット『本を隠すなら本の中に』(創元推理文庫)の3冊。いかにも衝動買いで、お金がないんだからもうちょっと検討したらよかったとその日にうちにすこし後悔した。

まずコージーミステリをとローナ・バレット『本を隠すなら本の中に』読み出した。主人公はミステリ専門店の店主トリシア・マイルズ。離婚していまはジャーナリストの恋人がいる。猫のミス・マープルが同居。隣りで姉のアンジェリカが料理専門書の店とカフェをやっている。
大学時代の友人パミーが訪ねてきてもう2週間居座っている。パミーの行動にはトリシアの目にあまることが続いているので、ついに出て行くように言ってしまった。
パミーはあちこちの店をまわって職を探したが決まらず、最後はアンジェリカが雇うことにしたのをトリシアは知る。
トリシアはアンジェリカの店の裏側のコンクリートの道に出た。ゴミのカートから突き出た2本の脚はパミーのものだった。
否応無く警察とつきあうことになる。(多分)前作でうまくいかなかった係官でなく、今回は郡保安官事務所の地区隊長ベーカーが捜査に当たる。彼の緑の目に惹かれるトリシア。コージーミステリの王道を行くって感じ。

買ってよかったと思ったのは、居候だったパミーが殺され捜査官たちが帰った後のさびしい部屋で取り出した本が、なんとまあ『小公女』だったこと。トリシアはこの本の最初のページを何度も読んでいると書いてある。わたしは終わりのほうの屋根裏部屋に奇跡が起こったところを何度も読んでいるんだけど。
ドロシー・L・セイヤーズへの言及もあってうれしいかぎり。猫の名前はアガサ・クリスティーだけど。
(大友香奈子訳 創元推理文庫 1200円+税)