懐かしの路地〈ろーじ〉(わたしの戦争体験記 48)

先日、四ツ橋筋まで行った帰りにいつもより一筋北寄りの道を通った。その路地は南北に通っている。南のほうの道から入って北へ出て西へ向いて歩いたら新町1丁目から2丁目になる。

ここの路地は80センチ×30センチくらいの石が自然にうまく組み込まれている。掃除が行き届いていてとても素敵だ。
戦災で焼ける前はうちの家から出たところもこんなんやったと相方に説明した。路地の入り口にはお好み焼き屋さんがあって、仲良しのさかえちゃんの家はこの辺と思い出した。奥の反対側の出入り口には陸軍軍人のお父さんがいるおうちがあった。町会長をしていて徽章がいろいろついた軍服を着て髭を生やしてはった。

大人の事情はよくわからなかったが、貧乏人の子沢山だったわたしの父親が東京での仕事がうまくいかず、新町に住む姉に相談したようだ。それで一家あげて新町にきて姉の住んでいた家に住むことになったみたい。家は路地を入ってすぐのところにある二階建てで小さな部屋が多く中庭があった。新町2丁目で路地のあとも残らず焼けてしまったのに、いまも路地がそのまま使えているところもあるのが運の差なんだろう。