乙女椿

わたしは春の花では椿が好きで、なかでも乙女椿が大好きなので、道を歩いていてよそのおうちの玄関の前にある鉢に乙女椿が植えてあると大喜びする。この近所の道で見かける乙女椿を把握していて毎年花を見るのを楽しみにしていた。

今年はあまり出歩いていないのでちょっとさびしい。しかも椿を忘れていて、先日見かけたときは「忘れててゴメン」と口の中でいって、ゆっくり鑑賞させてもらった。毎年植木鉢に椿を咲かさせてくださってありがとう。

姉の家には藪椿が3本と侘助椿が1本あって、12月に入るとワビスケが咲き始めて1月いっぱい咲いていた。藪椿は早春から4月にかけて咲いていたっけ。植えている場所が庭の片隅の物入れの横なので他の好みの木より差別されてるみたいだった。椿の木は夏には虫がついてナンギだった。わたしは虫を殺すのはゴメンこうむったから姉は仕方なしに帽子をかぶりマスクをしてクスリを枝に撒いていた。
椿の落花を拾うのはいやな仕事だった。姉も最後の年は「見んとこ」といって障子を閉めて椿の木を部屋から見ないことにしていた。

3月末で借家だった家を返したので、植木たちはどうなっていることやら。床下にはイタチが住んでいたがどうしているやら。