仮病のトイレ(わたしの戦争体験記 90)

4月28日の日記【仮病(わたしの戦争体験記 88)】で、仮病をつかって学校をサボっていたことを書いた。布団をかぶって「お腹が痛い」「アタマが痛い」と変わりばんこで理由をつけたが、叔母をだますのに寝ているだけではすまない。トイレ問題があった。座敷の隅の障子をそおっと開けて廊下に出る。広い板敷で地面から80センチくらいの高さの廊下を地面に飛び降りて広い庭に出る。正面に出ると叔父さんが作業しているから側面に出て植え込みの中に入って葉っぱの陰でオシッコ。やれやれ、これで半日いけるとまたふとんにもどった。
春夏秋はいいが、冬は雪が積もっている。雪の庭に降りて雪の上にオシッコすると雪が黄色く染まった。きれいなもんだと眺めていたが、あとで叔母さんが見ていたっけ。なんにもいわれなかったが、母に葉書を出していた。

勉強しない。本ばかり読んでいる。家事を手伝おうとしない。ちゃんと挨拶ができない。あかんことばっかり書くものだから、母からわたし宛に叱責の葉書がきた。「オシッコはちゃんと便所に行きなさい」と書いてあってもねえ、働いている叔父さんの横をよう歩かん。でも行きたいものはしょうがない。堂々とはできないが、そおっとトイレに走った。