カーリン・イェルハルドセン『お菓子の家』

ヘニング・マンケルからはじまったスウェーデン北欧そしてドイツのミステリがおもしろい。
今回また新しい作家カーリン・イェルハルドセンが紹介された。「お菓子の家」はコニー・ショーベリ警視シリーズの第1作。訳者あとがきによると当初の予定の3作は終ったが、シリーズは新メンバーも加わって6作目まで出ているそうだ。おととい買ったのは第2作「パパ、ママ、あたし」だが、両方とも甘いタイトルなのに中身はきつい。読んだ人からの口コミで硬い本好みの人へ広がっていけばいいな。

トーマスはこどもの時から目立たないように生きてきていまも一人暮らしをしている。だれも彼の存在に気がつかず職場でも無視されている。
【ここストックホルムの成人には、もちろん違うルールが適用される。ここでは個性的な考えが評価され、伝統を破る外見が、往々にして好意的に迎えられる。そして何よりも、教育を受け、自立していなければならない。】
こんなスウェーデンだがトーマスに社会は厳しかった。結果はいまのような目立たない男になってしまった。

年金生活者のイングリットは大腿骨を折っての入院生活のあとで家に戻ってきた。車椅子で送ってもらいドアのところで一人になった。杖をついて部屋に入ると嗅ぎ慣れない匂いがする。明かりをつけると知らない男が倒れていた。イングリットは病院へもどった。おどろいた看護婦のマギットはあと2時間半で仕事が終るから待っているようにと言う。そして二人は死体のある部屋へもどり警察へ電話する。

ハンマルビー署刑事課のコニー・ショーベリ警視は家で子どもたちの相手をしている。8歳の長男シモン、6歳と4歳の娘がいて、1歳児の双子は養子である。妻のオーサは教師で仲のよい家族だし、ショーベリは家事をいやがらない。しかし、妻のほうが家事の負担が多くなりショーベリが外へ出るときに爆発することがある。
呼び出しを受けてショーベリは現場へ向かう。
殺されていたのはまともな実業家で良き夫であった。なぜイングリットの部屋なのかも関連が見えない。

それから続く連続殺人、被害者の共通点は44歳くらいだということ、共通の地名もわかってくる。

ショーベリの部下たちのてきぱきとした仕事ぶりもよい。女性刑事ペトラや女性たちがいきいきと働いている。
なぜかオープンサンドをよく食べている。もう一度読んでのせているものをチェックしよう。
(木村由利子訳 創元推理文庫 1000円+税)