クリント・イーストウッド監督・主演『グラン・トリノ』

クリント・イーストウッドはこれで俳優引退と言ってたそうだが、その後「人生の特等席」に出演した。どちらもいいが、こっちのほうが好き。ハリー・キャラハンを思い出した。

「グラン・トリノ」はフォードの車種フォード・トリノのうち、1972年から76年に生産された名称だそうな。
コワルスキー(クリント・イーストウッド)はフォードで50年自動車工として働いてきたポーランド系アメリカ人。物語は妻の葬儀がカトリック教会で行われているところからはじまる。こわばった彼の表情で2人の息子の家族とうまくいってない様子がわかる。

愛車グラン・トリノを磨き上げ、それを眺めながら庭に座ってビールを飲むのが毎日の楽しみで、独り言で悪態をつくいやなじいさん。
朝鮮戦争に従軍してたくさんの敵を殺したこと、そのために勲章をもらったことを50年経ったいまも罪に感じている。

デトロイトの街は自動車工業が衰退して、いままで白人が住んでいた地域にアジア人や中南米の人たちが住んでいる。コワルスキーの隣人もモン族一家が住んでいて賑やかだ。
隣家の息子タオが従兄弟が入っている不良グループに脅かされて、グラン・トリノを盗もうと忍び込むがコワルスキーにおどされる。タオの姉のスーは礼を言いにきてホームパーティーに誘ってくれ、一家の歓待に彼の心は和む。
スーにタオを一人前にしてくれと頼まれて、仕事を教えるうちに心がほだされていくコワルスキー。彼が紹介した職場に行ったタオが不良たちにまた脅されたのを知った彼は、対策を考える。床屋に行き服装を整え、タオを家の地下室に呼んで鍵をかけ、ひとり不良たちの家に向かう。

若いカトリックの神父は最初こそ教条主義的なことを言っていたが、コワルスキーを捜してバーに行っていっしょに飲んだりしているうちにほぐれてくる。
コワルスキーの遺書には、家はカトリック教会へ、グラン・トリノはタオへと記してあった。
(明日に続く)