グレン・グールド「ゴールドベルグ変奏曲」を聞きながら

こどものころは父親が適当に自分の好みのレコードを買ってきたのを聞いていた。うちには戦火をくぐった蓄音機とSPレコードがあった。レコードは大衆的なクラシック、タンゴ、シャンソン、映画音楽など。ラジオではディキシージャズ、スイングジャズを聞いていた。この父親のおかげかいまだになんでも聞く。クラブの爆音でも大丈夫(笑)。

さっきツイッターを読んでいたらYouTubeで「Glenn Gould Bach Goldberg Variations 1981 Studio Video complete 」というツイートが現れた。
いまちょうどサラ・パレツキーの『カウンター・ポイント』を再読中である。ヴィクの恋人ジェイクがコントラバス奏者だし、ヴィクの亡き母はクラシックの歌い手でありピアノを教えていた。そんなことでクラシック熱がじわじわ湧いてきたとき、偶然現れたYouTubeをクリックした。

グレン・グールドはフリージャズ熱が一段落したころによく聞いていた。LPレコードがCDになったころだ。最近はあまり聞いてなかったが、グールドがわたしのいちばん好きな漱石の『草枕』を愛読していたことを知ってますます好きになった。
47分19秒の演奏が終わった。音だけでなく弾いている姿が見られてよかった。

正月去って

毎年お正月って慌ただしくやってきて騒々しく去っていく。なにもしない我が家なのに年末はばたつくし、正月はなんとなく落ちつかない。きちんと決まりを守って暮らしていたらうまくおさまるのかしらね。
いまごろ思い出しているが、今年は姉の家で恒例の坊主めくり(百人一首の)をしなかった。夕方の飛行機で東京へもどる単身赴任者がいて終了が早かったからね。しかし年末にもどってきて三が日のうちにまた出かけるんだから慌ただしい。まあみんな飲みすぎないようセーブしてたから酔っ払いがでなくてよかったけど。

おとといから書いていた年賀状は仕上がるごとに投函して30枚完了。あと数枚残っているのは年賀状でなく絵葉書で寒中見舞いにしよう。と思ったら、まだ2・3日はいいかと休止中。久しぶりに絵葉書箱を調べたらおそろしい枚数が出てきた。保存しておくか使うか考えるところ。だれにどれを使うか考えるだけで時間がかかりそう。

夕方から風呂場とトイレを掃除して、そのあと風呂に入って全身をチロルの石けんをたっぷり使って洗った。明日は美容院シュリットで綺麗にしてもらう。年末混んでいると思って持ち越したら頭の真ん中がまんまるく白くて目立つ。綺麗になったら新しいセーターを着よう。

晩ご飯は寒サバ焼いて

買い物に行った相方が脂がのった鹿児島の寒サバを一尾買ってきた。ピカピカと見るからにうまそう。片身を今夜焼いて食べ、あとは明日パスタにするそうだ。
お昼頃に起きてカンタンな個食の昼食だったので、晩ご飯に期待してた。一日中雨でなんとなくこもっている感じの休日だったからパッと晩ご飯を食べたい。昼が野菜少なめだったから野菜をたくさん。

ということでサバ以外は野菜。先に野菜を食べなくてはと、ブロッコリーの蒸し煮マヨネーズつき、アボカドとトマトとキャベツとオイルサージンの炒めたの山盛り、それを焼酎の湯割で。ご飯には寒サバの焼いたんを片身半分ずつ、ごぼうと小芋とねぎがいっぱい入った味噌汁、海苔、たくわん、番茶。
質素なものばかりなのに豪華なご飯になった。

明日の昼ごはんのサバのパスタが楽しみ〜

いまごろ年賀状

昨日から今日は年賀状書き。毎年書くべきときに書かないから頂いたのを見ての賀状になる。それぞれの身内と長い付き合いの友人たちが律儀にくださってありがたいことだ。そしてヴィク・ファン・クラブの会員の方々からも可愛い写真やイラスト入り賀状。
こちらは返信めいたのをいまごろ書いている。ユーモアをちりばめようと頭をしぼっています。しかも、我が家は手書きなのである。ちゃんとデザインして早々に出していた時期もあったが、ここ10年くらいは手書きである。それもめちゃくちゃ悪筆が二人寄っているのだからおかしな話。宛名を間違いなく書いているか確かめないと心配だ。

昨日の夜中に書くのが面倒とツイートしたら「がんばってくださーーい」と返信があった。若い方が気を使ってくださってうれしい。これアップしたらもうちょっとがんばって書こう。ハンコを駆使して(笑)。

いま気がついて調べたら松の内は関西はだいたい15日で関東は7日だそうだ。ああ、うちは関西でよかった。明日出しても松の内に着くだろう。

連休後は寒くなるそうだ

昨日から今日の昼は少し寒かったぐらいだが、暗くなったらいっそう寒さがつのってきた(年をとると寒さに敏感になる)。夕方ベランダに出て宵の明星の美しい輝きに見とれた。そのときは星だけだったけど、4時間ほど経ったいま気がついて見にいったら、上弦の月が輝いていた。夜空を見るのが真冬の楽しみ。夜中になったらシリウスがかろうじて見えるのも冬の夜の楽しみ。

ラジオの天気予報で連休明けに寒くなるといっていた。北海道や東北は大荒れの天気で猛吹雪や大雪だとのこと。寒波が全国に長く居座るので、太平洋側だって晴れても寒いそうだ。しかも厳しい寒さが続くとのこと。光熱費が気になるところ。

先日出かけたときは買ったばかりの厚手カーディガンを着てその上にダウンコートを着たもんだから、下着とタートルのシャツをとおしてカーディガンまで汗だく。来週はそのスタイルで出かけても大丈夫みたい。

新しい年になってはや5日

正月といえどもなにもしない我が家、窓を拭かんとあかんなといいながら汚れたガラスを眺めている。そのうち気が向いたときやろう。
昔ながらの習慣を守っている姉は掃除は専門家に頼み、「こんなに忙しくてしんどくて、もう正月いらんわ」といいつつ、やるべきことをやっている。最後は玄関に大王松と千両とチューリップを生けて、正月!という感じにまとめた。
お雑煮は白味噌でないとだめだそうで、ちゃんと作って食べたと満足そう。伝統を守る人は強いわ。うちの元旦の朝はフレンチトーストだった〜

3日のお昼から姉の家で恒例の姪の家族とともに宴会をやった。テーブルいっぱいのご馳走と、女性陣のプレゼント交換。すごく時間をかけて選んだと姪からセーターの贈り物、ピンク系が姉に、グレー系がわたしに。プラス福袋から出てきたぬくぬくカーディガンも。姉はお年玉袋を用意してあった。
これで我が家の正月行事は終了。

あとはどこにもいかず外食せず、映画を見て本を読んでツイッターやっての5日間であった。

ペドロ・アルモドバル監督・脚本『私が、生きる肌』

今夜もペドロ・アルモドバル監督の映画を見ることにしたのだが、この作品、見ている間も見終わっても、すごい!としか言葉が出てこなくて、どう書いたらいいものか。
2011年の作品。原作ティエリー・ジョンケ(ハヤカワ文庫)

主な舞台は世界的な形成外科医ロベル・レガ(アントニオ・バンデラス)の大邸宅。邸宅の中に手術室があり監禁室あり。死体を埋めてもバレない広さの庭があり血の付いた寝具を燃やしても平気なのである。趣味は盆栽で、植木を剪定して自分の思う姿に矯正する。人間も思う形に仕上げられるわけだ。

ロベルの妻ガルは自動車事故で大やけどを負い、療養中に窓ガラスに映った醜いケロイドの自分の姿に絶望し自殺する。一人娘のノルマは母の自殺を目撃したショックで精神を病みクスリを常用している。偶然パーティで出会った洋品店の息子ビセンテ(ジャン・コルネット)とノルマは腕を組んで庭園へ出る。二人は抱き合うがノルマが大声で叫びだしビセンテは逃げ出す。ロベルは死んだ娘を見つけて、ビセンテを探し出し追う。
ついにビセンテを捕まえて監禁したロベルは、ビセンテを去勢し性転換手術をほどこし人工膣を装着する。膣を広げるために小から大のペニスを並べて受け入れ態勢を整えさす。ついにビセンテは美女に生まれ変わる。ロベルは彼女をベラ(エレナ・アナヤ)と名付ける。
鍵のかかった部屋で孤独に過ごすベラはテレビでヨガへの誘いを見てヨガの本を要求し熱心に学びはじめる。美しい肉体のヨガのポーズ。

ついに、ロベルの拳銃を手にしたベラはロベルを撃つ。
ようやくベラはロベルの邸宅から逃げ出して母の洋品店へ帰った。

思い出しつつストーリーを綴った。こういう映画が好き。

あくびがとまって体力回復

昨夜はネットでペドロ・アルモドバル監督についての記事を探して読みふけった。その後は同監督の最新映画『ジュリエッタ』の原作、アリス・マンローの『ジュリエット』を相方が読んで感動したという話で大盛り上がり。本を貸してくれたのでわたしはこれから読む。

読み終わったサラ・パレツキー『カウンター・ポイント』の物語の25年前の出来事や登場人物のことがシリーズ3作目『レイクサイド・ストーリー』にあると山本やよいさんが「あとがき」に書いていらっしゃるので読み始めた。こうなったら第1作の『サマータイム・ブルース』から読み返すのがいいかなと思うが、いまの未読本の山を見るとそうもいかず、悩むところなり。

昨夜はそんなことで遅くまでしゃべったり読んだりで寝るのがまた遅くなった。寝つきが悪いから朝がしんどい。だけど今日は姉の家で姪一家と宴会だったのでご馳走を買っていった。お酒はひかえたが食べるものはよく食べた。デザートにぜんざいが出たのもしっかり食べた。寝不足プラス食べすぎで帰りはふらふら。
帰ってまずお風呂に入ったら、それからあくびの連発。机に突っ伏してひと寝入りしてようやくあくび回復、食欲回復。晩ご飯をつくってくれたのを食べコーヒーを飲んだら体力も回復した。また今夜も夜更かしか。仮眠したからええか。

ペドロ・アルモドバル監督『トーク・トゥ・ハー』

『トーク・トゥ・ハー』(2002)は『オール・アバウト・マイ・マザー』と『ボルベール〈帰郷〉』の間に位置するペドロ・アルモドバル監督「女性賛歌三部作」の二作目。

とても激しい作品で見ているだけで疲れたがその疲れが心地よくもある。
バレエを見ている観客席に二人の男性がいる。マルコは舞台を見ながら涙を流している。ベニグノはそれをいぶかしく思っている。

母の介護を15年間続けたベニグノは母の死後マンションのベランダから見えるバレエ教室の練習を眺めていて、ダンサーのアリシアに恋をする。財布を落とした彼女が拾ってくれた礼をいうとぐずぐずとした態度。結局後をつけて住まいを確認する。
その後アリシアが交通事故に遭い植物人間になると、介護師となって病院に就職し彼女の看護を積極的に引き受ける。彼女の体や髪を洗いマッサージするのが喜びになって4年経った。

旅のライターのマルコは女性闘牛士のリディアと知り合い愛し合うようになるが、彼女は闘牛場で牛に刺されひどい怪我をしアリシアと同じ病院で治療を受けるも目を醒ますことなく死亡する。マルコとベニグノは病院で親しくなるが、マルコは仕事をするべく旅に出る。

病院ではアリシアが妊娠していることがわかり騒ぎになる。
サイレント映画を見に行ったベニグノが見た映画、女性科学者が発明したクスリを飲んだ男性の肉体が縮んでいき、小さくなった彼は眠っている女性の性器の中に入っていくというもの。
ベニグノは逮捕され刑務所に収監される。

事情を知って慌ててベニグノに会いにいくマルコの必死さ、二人の間に愛があるのがわかる哀しくも美しいシーン。マルコはアリシアが昏睡状態から醒めたことを知るが、ベニグノには言うなと口止めされる。

元旦の夜に見た映画。2日連続でペドロ・アルモドバル監督の作品を見て疲れた。

ペドロ・アルモドバル監督 ペネロペ・クロス主演『ボルベール〈帰郷〉』

ペドロ・アルモドバル監督の映画を全部見たいとずっと昔に『オール・アバウト・マイ・マザー』を見たときから思っていたのに、なぜか『抱擁のかけら』と『バッド・エデュケーション』しか見ていなかった。しかも当ブログに『抱擁のかけら』の感想が見当たらない。書いてないはずないので探さなければ。

先だって相方が友人に勧められたのは劇場上映中の『ジュリエッタ』なんだけど、映画館にめっそいかないわたしらは昔から見たかったのにまだ見ていなかったのを家で見ることにした。『ボルベール〈帰郷〉』(2007)を昨夜大晦日から元旦にかけて見た。

ライムンダ(ペネロペ・クロス)は夫と娘のパウラと暮している。失業した夫は妻に冷たくあしらわれ、義理の娘のパウラに手を出す。抵抗したパウラは父親を台所の包丁で刺し殺してしまう。
ライムンダは泣いている娘から真相を聞き、夫の死体を隠そうと流れた血を拭き取り毛布に包む。そこへ近所のレストランの店長が来て、店じまいするから鍵を預かってくれと頼む。気付かれなくてよかった。

その地へ来ていた映画撮影の人がレストランのそばにいたライムンダを見て店の人と思い大勢のランチを頼む。ライムンダは友だちの顔を見るとパンやケーキを焼いてくれるように頼み、お金を借りて買い物に行きランチの支度をする。料理の手際がよくて新鮮な野菜がうまそう。

物語の展開が早い。殺人だけでなく死んでいたはずの人が出てきたりしてすごくおかしい展開。夫の死体は友人の手を借りて遠くへ埋めに行く。埋めたところにある大きな木の幹に墓碑銘のように文字を彫りつける。

撮影隊がレストランで打ち上げパーティするときライムンダは歌を歌う。それをじっと見る娘と姉と長いこと隠れていて現れたばかりの母親。姉の美容室でライムンダから隠れるところがおかしい。

『オール・アバウト・マイ・マザー』『トーク・トゥ・ハー』に続くペドロ・アルモドバル監督「女性賛歌三部作」の三作目。

映画『ジュリエッタ』を見る代わりに原作の本、アリス・マンロー 小竹由美子訳『ジュリエット』(新潮社 2400円+税)を読むことにした。昨日深夜アマゾンに注文した本が今日夕方届いた。すごい。