天王寺アベノハルカスの美術館でやっている『奇才』に行ってきた夫が買ってきたカタログを見ていて、えっと驚いた。知っている人やん。木村 蒹葭堂(きむら けんかどう)さんや。
何年も前だけど市立図書館で木村蒹葭堂展をやっていて、見に行ったわたしは看板の横に並んで写真を撮ってもらった。嬉しそうに並んでいる写真が探せばどこかで見られるはずだ。
話はそれだけ。いまだにひとり喜んでます。
今日は1日中カタログを眺めてました。
※美術展「奇才」は残念ながら昨日で終わってしまいました。
カテゴリー: 美術
砂澤ビッキさんの思い出
今日のツイッターで目にした巖谷國士さんのツイート。
【3月7日2時から札幌の北海道立文学館で、「砂澤ビッキと澁澤龍彦」という講演をする。無料。要予約。】
行きたいけど、当然、無理。
その代わりに砂澤ビッキさんの個展でお会いした時の思い出を書きます。
いま手元に『砂澤ビッキ作品集』という大判の本(株式会社用美社)がある。1989年10月発行で、たしか出たときに買ったように覚えている。
そのころ大阪の画廊での個展に行った。画廊には他の人はおらず、ビッキさんがおられてにこにこして迎えてくれた。北海道の話や今後の活動の見通しなど、ビッキさんの気になっている話題がどんどん出た。
木彫りの小品がたくさん展示してあった。値段がついているのがあったのでお金があれば買うのにと思ったが、うちらには無理。
わたしが作品を丁寧にうれしそうにゆっくり見ていると、「手にとって見て」といってくれ、小さな木彫りのトンボのような蝶のような虫のような作品を手に持たせてくれた。自分が持ってトンボが飛ぶように見せてくれたりした。「触ると手垢で汚れるから」といったら「それがいいんだ」と笑っていた。手にとって見てもらうのがいいんだって。
北海道出身の夫と旭川の話をして盛り上がり楽しそうだったのを覚えている。
帰るときは暖かい大きな手で握手して背中まで抱えてくれた。感激いまも忘れず。(SUNAZAWA Bikky 1931-1989)
図書館のホールギャラリーで文楽の展示を見て
昨日は投票の帰り久しぶりに中央図書館に行った。図書館に入るのはほんとに久しぶり。
エントランスホールギャラリーで文楽の展示をしていたのでゆっくり見た。娘役の人形の髪と衣装の美しさにうっとりした。最近すっかり文楽にご無沙汰なので、人形を見ても誰かわからない。車椅子の押し役は文楽をあんまり好きでないので長居は遠慮して要所をくるりとまわって終わり。でも、見るべきところは見た。人形のかしらができるまでの材木を切ったところから完成するまで丁寧な見せ方をしていたし、衣装が美しかったし、楽しんだ。
また古い話です。
1960年ごろ、文楽は二つに分裂していて因会(ちなみかい)と三和会とに別れていた。わたしは桐竹紋十郎さんのファンだったので否応なく三和会を応援していたが、見る機会は劇場がある因会が多かった。
三和会は劇場がないからあちこちの地方で機会があればやっていたようだ。
ある日の午後に三越劇場で三和会の「八百屋お七」を見たことがあった。桐竹紋十郎さんがつかうお七を見たことは若かったわたしの誇りと自慢となった。60年ほど経ったいまでもお七の姿がまざまざと蘇ってくる。
いやー、昨日はいいものを見せてもらって、そこから紋十郎さんを思い出すことができてよい日だった。
夕暮れの66展からyobareyaへ 帰り道にはお月さん
近所にある細野ビルで毎年行われる66展が今年も開かれた。6時6分から始まるので夕方ばたばたと出発。間に合ったけど空き席がないようなのでビルの横の植え込みの縁石に腰掛けた。毎年のことなんだけど(笑)。開け放したビルの窓から中が見える。
ドラムの音が響き小澄源太さんのライブペイントがはじまった。まだまだ日が暮れない。少し涼しくなったので、先日ジョローナで買ったばかりのスカーフを巻いた。だんだん日が暮れていくのを見ているのがよい。こんなときでないと外でぼんやり座っていることがないから。
1時間ほど見ていてから、お腹が空いてきたので先日から気になっていた西大橋のカレー屋「yobareya」に行った。相方が最近なにかのとき行ってビールを飲んできた。カレーがうまそうだという。
お店に入るととてもおしゃれな店内と素敵な店主さん。
口コミサイト「Retty」から引用します。
【ココナッツとキーマの2種類がベースになっていて、ココナッツは甘めのスパイシーさが、キーマは辛さが引き立つカレーになっている。一番人気は「アボカドチーズカレー」で、ミルキーでとてもまろやかなグリーンカレーだ。体のことを考えて作られたカレーとおしゃれな内装で、多くの女性客を魅了している。】
このとおりでおしゃれな女性客が多くて会話がはずみ賑やか。
わたしらは両方のカレーを1皿ずつ頼み途中でお皿を交換した。どっちもおいしくて、今度食べにきても同じ食べかたをするだろう。生ビールがうまかった。食後のコーヒーもうまかった。
66展にもどるという相方と別れて歩いての帰りしに、ふと見上げたらお月さんが上の方にあった。うちのベランダからはこの場所は見えないからラッキーだった。
『美術手帖』4月号「メンズ・ヌード」を買って読んでいる
これもツイッター情報なんだけど、『美術手帖』4月号「メンズ・ヌード」がおもしろそう。先日から買おうと思っていたが、ようやく今日姉のところに行くのでイカリスーパーで買い物してから紀伊国屋へまわった。重い食料品の紙袋と布袋を提げてご苦労様なことである。『ユリイカ』はあったけど『美術手帖』が見当たらぬ。店員さんに聞いたら一発でそこと教えてくれた。なんとまあ『美術手帖』はビニールで包装してありけっこうな冊数が平積みしてあった。
文庫本も買いたかったが荷物が重くなるので、見るだけでもと書棚の前に立っていたら、じっとわたしを見つめている中年の女性がいる。おばはんがエロ雑誌を持っていると思われたなと一瞬思ったが、なんのなんの万引きと思われたみたいだ。けげんな表情をしたわたしの純真な顔を見て彼女は向こうへ行ってしまった。まあ、これはわたしの感想であって事実かどうかは知らん。
帰ってビニール包装を破って出した雑誌は表紙からメンズ・ヌードで期待が高まる。ページをめくるときれいで上品な写真。文章はすっきりきっちり。
読みたかったのは湯山玲子さん×金田淳子さんの対談「目差される男のハダカ」である。わたしは10年くらい前に湯山さんの音楽関係の本を1冊読んだことがある。その本で地中海にあるイビサという島のクラブのことを知った。最近午前のNHKラジオで湯山さんの声を聞きどんな方かと想像していた。はじめて写真を拝見して堂々たるお姿とお言葉にしびれた。まだざっとしか読んでないのでこれからゆっくり読む。
国立国際美術館で『貴婦人と一角獣展』
地下鉄の駅に貼ってあるポスターを見て、ちょっと見たいなと思ったときは暑かった。そのまま忘れていたが、VFCの例会でYさんが招待券をくださった。10月20日までやってるから涼しくなったら行ってねとのこと。この間までほんまに暑くて動く気がしなかったが、終了日が目前になって慌てて行ったわけ。実は昨日の4時過ぎに家を出て歩き出して気がついた。美術館は5時までだ。ということで今日は3時過ぎに家を出た(笑)。
国立国際美術館はわりとうちから近くて歩いて行ったこともあるし、散歩で通ったこともある。しかし最近は膝が悪いから乗り物を利用する。ところが地下鉄もバスも降りてからがけっこう遠い。美術館では立ったり歩いたりだから疲れるのでつい億劫になる。
ぶつぶつ考えながら地下鉄で肥後橋へ出て歩いた。いま調べたらここに入るのは三度目だ。一度目は美術館ができてからすぐの「マルセル・デュシャン展」(2004年11月)、二度目は「ゴッホ展」(2005年7月)。それ以来である。
なぜちょっと見たいなと思ったかというと、「貴婦人と一角獣展」のタピスリーについて覚えがあったから。ファイル魔の相方のファイルに30年くらい前の雑誌「マリクレール」の連載、木島俊介「女神たちの変身」が26回分ある。これを覚えていた。一回目の見開き写真のタピスリーの本物が見られるのだから、ちょっと行きたくなるでしょ。それでファイルを出して昨夜にわか勉強した。
それとルネ・ギヨの「一角獣の秘密」という少年少女向けの本があるのも思い出した。いま開いて読み出したところ。
美術館はけっこう混んでいた。みんな涼しくなったのと、終了が近くなって慌てたのかな。でも大きなタピスリーだから少しくらい混んでいても大丈夫だった。
近くで見る織物の質感が素晴らしい。地色の赤が美しく全面にちりばめられた樹木や小さな花がめちゃくちゃ奇麗だ。
細かいものを伸ばして展示してあるところに、さまざまな「野の花」があって、わたしは狂喜して見ていた。ちょうどその前にベンチがあったので座って長いこと眺めていた。スミレやスズランやマーガレットなどすっごく可愛い。
一角獣、犬、兎、猿、猫、動物たちがみんなすごくノーブル。
これが1500年頃のものとは! そして19世紀の作家、メリメやジョルジュ・サンドが素晴らしいと言ったために世間に広まったという。
Yさんありがとう。中世を楽しみました。
中之島筑前橋で風に吹かれていたら寒い。そのあたりでお茶して帰ってきた。焼き芋が焼き上がりほうじ茶の香りが漂っているわが家最高(笑)。
Exhibition Roku Roku at Hosono building 2013
6日にオープニングイベントがあって、それからもう1週間経ち、作品の展示が今日で終るので見に行った。今日の暑さは格別で日傘を持たずに出たらすごい日射しだ。ホールの細野さんに挨拶だけして先に作品を見る。
展示スペースは地下室と2階と3階でいままで貸室だったところも開放されてずいぶん広い。風がよく通って涼しいので備え付けの椅子に座って長いこと休んでいた。その時間はだれも来なくて広い場所を独占でき贅沢気分にひたれた。窓から見る長堀通りが美しい緑で気分がよい。
毎年だんだんと出品者が増えているようで、質もだんだん上がっている感じ。毎年出している人の作品を見るとなぜか安心する(笑)。
地下室には知り合いが二人出品していて「見てね」と念を押されている。
近所の知り合い田中潤さんの作品は、ほの明るくした白いテーブルにプラスティックのグラスや蝶や金魚などの「物」が置いてある。それを備え付けの手持ちルーペのようなもので見ると「物」は美しい虹色や大理石のような色彩と形に変化する。なんか不思議な作品だった。
その横の壁にある池内幸世さんの作品は毎年同じ場所に展示してある。作品だけでなくご自身で作った遊び心ある木の額が楽しい。彼女らしい世界が額の中に浮かび上がっているのに感心した。生活感のある楽しい作品だ。社会性などと頑張らないでね。この生活感が社会性なんだから。
5時になったらだんだん人が増え出した。
ホールで細野さんとオープニングイベントのユーチューブを見ながら1時間ほど話して帰った。
阪急うめだ本店「生誕100周年記念 中原淳一展 」
中原淳一生誕100年を記念した展覧会が阪急百貨店9階のギャラリーで24日から8月5日まで開かれている。絶対に行こうと思っていたので終らぬうちにと7月31日に行ってきた。
水曜日の午後だったが、たくさんの人が来られていた。淳一先生の活躍時期にファンだったであろう年齢の高い方から若い人までいろいろ。おしゃれなひとが多かった。友だちどうし、母娘らしいひとたちも多く見受けられた。おしゃべりはされているけど、うるさくない。さすが淳一ファンだと思った。ここで大声でしゃべったりしたら淳一先生にたしなめられる(笑)。
「ひまわり」「それいゆ」の表紙絵を見ても驚かないのは復刻版を買ったからなあ。そして単行本も絵はがきブックも持っている。「少女の友」復刻版や「乙女の港」も持っているし。
というわけで展示品にはふんふんという感じだった。
お土産コーナーで姉や友人や自分用に小物を買った。
一澤信三郎帆布のバッグがよかったのだが、奥様風でわたしには向かないので買わなかった。(先日バッグの整理をしたら昔買ったのがたくさんあった。オシャレな小型バッグ、高かったのも思い出した。)
京扇子がとても欲しかったが高かったので諦めて。
買ったのは、ハンカチ、布袋、メモ帳、レターセットと慎ましやか。
まあ、「ひまわりの店」というのがあってネットで買えるから、昔みたいに必死でさがすということもなく。
細野ビル66(rokuroku)展 XI オープニングイベント
Opening Act 出演者
Art Live:小澄源太×豊田奈千甫(音楽)
Music Live:AZ CATALPA、MOHIKAN FAMILY’S、デミ
Art Live: 今川咲恵、わたなべゆう(guitar)、池田安友子(percussion)
Music Live:KING COLUMBIA
Final Act「素敵なあなた」:鞍掛綾子 × 樋口洋子 × ふじたゆかり(song)、 KING COLUMBIA
去年10回目を迎えた66展、今年は11回目になる。
今日のオープニングライブは6時6分から始まって11時10分頃まで5時間を越える長丁場だった。
去年、道路の縁石に座って窓から見ていたのが涼しくてよかったので、今年は最初からそのつもりでゆっくり行った。水とお菓子を持参したのを食べながら、ときどき窓に近づいてライブペインティングの様子を見ながら、時間がゆっくりと経っていくのを感じていた。
建物の横の庭に用意されたテーブルにはワインのコップが用意され、食べ物がいろいろと並んでいる。
ワインを飲みながら1年ぶりに顔を合わせた絵描きの友だちとしゃべった。七夕さんみたいにずっと年に一度細野ビルで会っている。ミクシィで知り合ったのが先か、細野ビルで話したのが先か。ご近所さんのアーティストとも会った。会期中に彼の作品を見に行かなければ。(展示は12日まで)
そういえば、去年までずっと来ていたのに今年来てない子がいる。そう思って見渡せば、知らない人がけっこう多い。こうして新陳代謝していくんやな。
ずっとボランティアで細野さんのお手伝いをしているNさんは、細野ビルはこの日が新年だという。それで新しい年もよろしくと挨拶をしあった。毎年この日は着物に袴をつけて接待にあたる怪傑男子。
寒くなってきたので一度家に帰ってパーカを着てきた。
そろそろ帰る人がいて椅子が空いたので座ったら、KING COLUMBIAがはじまるところだった。わたしがスイングジャズを聞くのはこのバンドだけだけど、今年はすごくいい演奏であっという間に45分が経った。管楽器が5人そろうと景気がいい(笑)。
そして最後にお定まりのダンス「素敵なあなた」なのだが、今日は鞍掛さんが出られなくて、樋口洋子さんがモダンガールって感じで踊った。ふじたゆかりさんが歌で入ってKING COLUMBIAと盛り上げていた。
美術館「えき」KYOTOにて『加藤まさをの乙女デザイン展』
京都駅のギャラリーは一度だけ行ったことがある。あそこなら迷わずに行けるなと考えていたところへ、Yさんが招待券を送ってくださった。いざ、伊勢丹7階へ、元気よくJR京都行き普通車で出発。
加藤まさを(1897-1977)は童謡「月の砂漠」の歌詞で知られる、大正中期から昭和初期にかけて活躍した画家で詩人である。先日から1930年代の英国や上海を描いた映画を見てため息をついているが、日本の加藤まさをが生きた時代と重なっていろいろと考えさせられる。
わたしの育った家にはたくさんのこども向けの本があって、えらく古い児童書もたくさんあった。代々こどもたちに買った本が溜まって5番目のわたしには上4人の本が読み放題だった。だから加藤まさをと聞いて名前を思い出したのだが、読んだはずの「消えゆく虹」「二つの虹」の内容が思い出せない。ここでもういっこ思い出したのは「吹けよ春風」という作品で検索したら加藤武雄の少女小説だった。加藤さんだけいっしょだ(笑)。
ギャラリーにはたくさんの作品が展示されていた。楽譜の表紙は「夢二デザイン」という本で見て、その美しさにおどろいたが、加藤まさをの作品もよかった。
絵はがきが多い。ほとんどが淡い色彩の乙女というよりこどものような少女の姿が描かれている。バラなどの花の真ん中に妖精のように少女の顔がある。幼く清潔な感じがする。
竹久夢二、蕗谷虹児、高畠華宵らと並ぶと説明してあって、最後の展示室には、彼らの絵と並んで展示されていた。中原淳一もけっこういろいろあった。淳一作品をいくら見ても飽きないわたしは淳一ファン(笑)。
わたしの好みは加藤まさをよりは他の方々だとわかった。そういうこともわかって、加藤まさをと名前しかわからなかった人の作品もわかってよかった。
グッズ売り場では夢二デザインのレターセットや淳一のひまわりハンカチなどを買った。
今日は若い人たちが多かった。同時代の人はもう来られないだろうし、ちょっと下の人だったら関心ないだろう。若い人たちが夢二だけでなくいろんな人たちに関心を持っているのはいいな。
ギャラリーを出たら駅、さっとエスカレータで運ばれて、また普通電車に乗った。行きは景色を眺めながら、帰りは川端康成の「古都」を読みながら。4時間足らずの短い旅、終了(笑)。