読書生活再開

いまようやくサラ・パレツキー『フォールアウト』を読んでいる。おもしろくてどんどん進み3分の1までいった。明日も読み続けるだろう。なんかようやく本来の自分にもどった感じ。

去年の11月くらいからちょっと硬い本を連続で読んでいた。『ハンナ・アーレント』は映画を見てから伝記を読み、夫のハインリッヒ・ブリュッヒャーとの間柄に憧れた。著書は読もうと思いつつまだ読んでない。同じ頃に映画『サラの鍵』を見て、慌てて原作(タチアナ・ド・ロネ)を買って読んだ。原作も映画もこの日記に感想を書いてある。1942年ナチに占領されたパリでユダヤ人たちが逮捕されヴェルディヴ→アウシュヴィッツに送られ殺された。生き残った一少女のそれからの人生のつらさを掘り下げて書いた秀作。

続いて山本やよいさんが訳された『否定と肯定』をいただいて、これは真剣に読んだ。アメリカの大学で現代ユダヤ史を教えるデボラ・E・リップシュタット教授の法廷での闘いが、繊細に真剣に記されている。

12月中は読むのに精一杯で、真面目な本たちのそれぞれの感想を書いてないのは頭も疲れて文章化ができなかったから。
いま2月も半ばになって読書欲が湧いてきた。続いて感想を書く欲が湧いてくる予感がする。
いま、手元にある読みかけ本は、鹿島茂『パリの秘密』『明日は舞踏会』、富岡多恵子『釋迢空ノート』、白波瀬達也『貧困と地域』、まだまだあるので当分困らない、どころかあって困っちゃう(笑)。

ロマンスが好き メアリ・バログ『浜辺に舞い降りた貴婦人と』

翻訳者の山本やよいさんにいただいた。わたしはロマンスが大好きなのでいただいてすぐに読み、友人たちを一回りした本がもどってきたのでまたじっくりと読んだ。このあとはまた他の友人にまわす。
メアリ・バログの本は以前に数冊のシリーズを読んでおり、達者な筆で女性と恋愛模様を書く力に魅せられてきたが、今回も惹きつけられた。

物語はコーンウォールの海辺で知り合った子爵未亡人のレディ・ミュア、グウェンドレンと元軍人のトレンサム卿、ヒューゴが繰り広げる愛の物語。まじめに結婚や生活を考え語り合う二人の会話がすがすがしい。ロンドンの社交界や田舎の屋敷での泊まりがけで続くパーティの描写が楽しい。

ロマンス小説を最初に意識して読んだのはジェイン・オースティンだった。映画『ユー・ガット・メール』でメグ・ライアン扮する子供向けの本屋の女主人が「高慢と偏見』を200回読んだと話していて、わたしは20回だ!とびっくりしたんだった。その前後にはコリン・ファースがダーシーさんを演じているDVDを買って毎晩見てた。リージェンシーロマンス大好きなんだとその頃気づいたんだった。
お金持ちたちが主人公のラブロマンスだからそこそこにしておこうと思っても、やっぱり真面目な恋物語が大好きだ。

本書では甘い恋愛描写に具体的なセックス描写がたくさん付け加えられて愛好者にはたまらない魅力の本。シリーズ1作目なのでこれからが楽しみ。
(山本やよい訳 原書房ライムブックス 960円+税)

クレイグ・ライス『スイート・ホーム殺人事件』

この本もこどものころからの愛読書。父親と次女と長男と三女のわたしが愛読していて、登場人物の、次女エープリル、弟アーティー、長女ダイナの会話を真似して「オコダカマカリキ」とみんなでやっていた。彼らの会話の「オダマリ」に「カキクケコ」をくっつけた簡単な合言葉だが、自分の言葉にくっつけてしゃべるのは面倒だった。紙に書いて読みながらしゃべったっけ。たしか小6だった。

いまここにある文庫本は1976年発行のもの。それでも42年前か〜 何十回も読んでいるからぼろぼろである。今回読んだらもう読むことはないから捨てる。20年くらい押入れで眠っていた本で新訳が出たら買うつもりだったが出なかったなあ。
クレイグ・ライスの本はけっこうあるがもういいかな。持っていても荷物だな。ヘレンたちシカゴの3人組好きだったけど。

なんと、文庫本は42年前だけど『宝石』という雑誌で読んだのはもっと古い本だった。「戦後」という時代に父親が買い込んだもので、我が家はぴかぴかのアメリカ文化を汚い古本やゾッキ本で学んだ。本の中には主人公たちが買うお菓子と家で作るお菓子があって憧れたものだ。

作家のお母さんすてき、ビル・スミス警部かっこいい。こどもたちはかしこい。
これからもう一度あちこち読んでからおさらばする。(長谷川修二 訳、小泉喜美子 解説。ハヤカワ文庫)

この3冊『小公女』『学寮祭の夜』『ジェーン・エア』

年末からの風邪引きが自分では治ったと思うんだけど、明け方咳をしていたそうだ。まだ治ってなかったんだ。今夜は濡れタオルを吊るして空気の乾燥に備えよう。
昼間だってまだちょっとぼおっとしていた。こんなときのセイヤーズだと、テーブルの前に『学寮祭の夜』を引っ張り出しているのだが、これがもう厚くてたいへんなのだ。小学校5年生くらいから読み出してそれ以来何百回読んだことか。読んだ本が日本で最初に訳された抄訳本だった。いまも手元にあるのだがぼろぼろである。まだ新訳が出るとわからなかったころに、これをコピーして希望者に分けたことがある。面倒なことをやる親切心というかお節介というかたいしたものだった。コピーしたおかげで古い本はよけいに破れた。いまはだいじに包んで本棚の隅っこに置いてある。

小学校に行く前から読んでいたのが『小公女』。どこの家にでもある小学生向きの厚い本で、うちの場合は姉2人が読んだ後は本棚に並べられ、そのあとわたしが読んだのだが、何度も何度も読んだあげく、自分のものにして人に渡さなかった。中学生になって岩波少年文庫版を自分の小遣いで買った。この本をいつまでも持っていたが『あしながおじさん』といっしょに数年前に処分した。その後は「青空文庫」で菊池寛訳のを読んでいる。

『ジェーン・エア』は小6の夏休みに姉の友だちに借りて読んだのが最初。感動して何度も何度も読んだ。夏休みが終わって2学期に学校へ行ったら、国語の女の先生が「この本を貸してあげる」と出してくれた。「もう読みました」といったら悲しそうにされたけど、そういうときは借りたらよかったのね、まだこどもだったから気がまわらなかった。中学に入ってお年玉で『嵐が丘』を買った。でもまだこどもだったから真価がわからず、ほんとに『嵐が丘』に目覚めたのはずっと後だった。いま持っている『ジェーン・エア』は吉田健一さん訳の文庫本をiPad miniで読んでいる。

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ドロシー・L・セイヤーズ『学寮祭の夜』

体調が回復したのを実感した昨夜、自力で這い上り中とツイッターに書いた。ここ数日はドロシー・L・セイヤーズを読んで昼も夜も過ごしている。セイヤーズのおかげ生きていられてるくらいの感謝の気持ち。

今日はヴィク・ファン・クラブ会報用のミステリ原稿の文字打ちをした。まだ這い上がり中だからしんどい。1000文字くらいなのにえらく時間がかかった。きれいな文字だからちゃんと読めて問題ないけど、でも人の書いた字でカタカナが多いのはナンギだ。

今夜はお見舞いメールをたくさんいただいているので、これからお礼メールを書く。
書き終えたらまたセイヤーズを読む。こどものときからの愛読書『学寮祭の夜』(昔の訳は『大学祭の夜』)

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今日もセイヤーズで生き延びる

セイヤーズ読書3冊目は『殺人は広告する』。これもすっごくおもしろい。
ロンドンに本社がある広告会社が舞台である。わたしもこの業界で長いことやってきた人間だから興味津々で読んだ。日本で初めてこの本の翻訳が出たのが1997年だが、物語の時代はずっと昔、古き良き時代である。ピーター卿の服装や会話やお酒に気持ちをときめかせつつ楽しく読んだ。

この時代の広告業界を舞台にしているのだが、文案を考えたり、文字数や書体などを登場人物たちが考えているのはいまのデザイン事務所も変わらないなと楽しくなる。セイヤーズ自身が広告会社でコピーライターとして働き、ギネスの広告文に名を残している。
名前を変えて広告会社で働きだしたピーター卿が殺人事件の犯人を探し当てる。ユーモアたっぷりの会話が楽しくて、もっともっと読もうと本棚を探ってしまう。

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ドロシー・L・セイヤーズで魂ぬくもる

年末は堅い本を数冊読み続けて勉強したつもりになっていた。だけど体調が悪くて感想を考えるのがしんどかった。結局書けないままで年末ぎりぎりになった。滅多にないことだが、風邪の症状が出て、声ががらがら、起きているのがしんどい。しかも夫婦で風邪引き症状だった。正月に見ようといってた映画は見たけど、内容が重くて紹介記事が書けず。特にわたしのほうがひどくて活発な頭脳活動ができず。
テレンス・マリック監督『ツリー・オブ・ライフ』はすごい内容のある作品だったが、そのうちもう一回見てから感想を書くことにする。

おとといからドロシー・L・セイヤーズの本を最初から開いて読んでいる。「探偵小説」の楽しい奇抜な展開に心温まり、魂ぬくもる。

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寒くて縮こまる

なにやら日毎に寒くなっているような気がするこの冬。今日も朝から寒くてかなわんかった。お昼に起きて、着膨れしてごろごろ。行くところもなくご飯食べて洗濯しただけ。作り置きの野菜スープとトーストと柿の個食、その後は読書。
デボラ・E・リップシュタット『否定と肯定』(ハーパーコリンズ)をずっと読んでいた。山本やよいさんの読みやすい訳ですいすい読める。でも字が細かいから目を休めながら。
ときどきパソコン前にきてツイッターを読んで、メールに返信して、VFCの会報作りの続きをやっていた。

夕方買い物に出かけた相方が「それ!山田真さんからきてるで」とレターパックを差し出した。なんとまあ、いまごろ原稿きてどないするのんと開いたら、ちゃんと来月用の原稿だと書いてあった。山田さんは手書き派なので文字打ちせなあかんのである。原稿用紙10枚文字打ちはお正月の仕事。
相変わらずよくミステリを読んではるのに感心する。最近のわたしときたら読みかけでおいてあったり、最初と最後を読んだだけだったりで情けない。
でも、『否定と肯定』を読み終えたらサラ・パレツキー『フォールアウト』をまじめに読む。

読書活動はじめる

昨日はのんきにドロシー・L・セイヤーズで和んでいたが、実はヴィク・ファン・クラブの会報作りの合間に一息入れたんだった。実はそうもしていられないのがわかりつつ一息入れて和んでいた。今日の午後もそのとおりでのんびりしていた。月曜からはこうはいかないと思いつつ。

夕方ポストに山本やよいさんからのレターパックが届いていた。
山本やよいさん訳のデボラ・E・リップシュタット『否定と肯定』(ハーパーコリンズ)ともう1冊は心温まりそうな本。訳者から直接本をいただけるなんてありがたいことだ。長い間、山本さんが訳されているVIシリーズのヴィク(VI)のファンクラブ(ヴィク・ファン・クラブ=VFC)活動を長年続けているおかげである。
今回も19日発売の新作『フォールアウト』を送っていただける。「超分厚いです。重いです。」とやよいさんのお言葉。重量も内容も重い。だからヴィクなんですよね。
『否定と肯定』を開いてみると、これもまた分厚い、そして文字が細かい。目に配慮しながら落ち着いて読まねば。こっちを先に読んでから次にサラ・パレツキーさんの本にかかろう。
会報を作るのと同時進行で本を読んでいく。暇なときは遊びに時間をとってしまい、ここにきて真剣になっている。今夜はもう少しパソコンとプリンタのお守りをして寝る前に読書。睡眠をたっぷりとって起きたら読書。

ドロシー・L・セイヤーズで和む夜

先日、突然『小公女』が読みたくなって昔から持っていた岩波少年文庫の『小公女』を買い直そうと思ったままだったのを思い出した。夜中に暖炉で薪が燃える音で目を覚ましたら、ほんものの薪が燃えておりテーブルには食べ物がいっぱい並べてあった、というところを読んで幸福感にひたりたかったのだが・・・しゃあないなあ、もしやと「青空文庫」の目次を見たら菊池寛訳のがあった。古い訳だけどもともとの話が古いんだからいいんじゃないの、というわけで青空文庫の菊池寛訳『小公女』をiMacの画面で読んだ。楽しんだ〜

ドロシー・L・セイヤーズを読みたくなったのもそういう感傷にひたりたいからかも。こちらは創元推理文庫をみんな持っていて、パソコン机の横の棚に収まっている。なににしようかなと迷ったが、いちばん好きな『学寮祭の夜』は読みすぎているから今日は休み。
父が昔持っていた『死体をどうぞ』にした。古いタイトルをもう覚えていないが置いておく場所がないのでしゃあない。

出だしはハリエットがのんびりピクニックしているところ、海岸を歩いていていい場所を探しのんびり座って弁当を食べ寝入ってしまう。
目が覚めて離れたところの岩に横たわる人間を見つけたが、生きていないと気がつく。潮が満ちてきて流されてしまうのは時間の問題とそばに行き、持てるものはリュックに入れ、死体の写真を撮る。

地元の警察に行くまでが一苦労。警察に行って話が通じると知り合いの新聞記者に電話して特ダネをあげる。警察とピーター卿と協力することになり、ハリエットはこの辺で最高のホテルに泊まる段取り。『毒』のときは恋人殺しの疑いで逮捕されたハリエットだが、ピーター卿の努力で疑いが晴れミステリ作家として売り出している。
ピーターとハリエット、二人のやりとりがおもしろい。今夜の友。さあ、あとを読もう。
(浅羽莢子訳 創元推理文庫 820円+税)