中野和子『「売れる」ハンドメイド作家になる!』は楽しくてためになる

この本は20年以上の友人である著者からいただきました。楽しくてためになる本です。
まっすぐに縫うのさえままならぬわたしとは縁のないハンドメイドだが、やさしい文章と写真とイラストでハンドメイドの楽しさとその実現について教えてくれる。今日一日楽しんで読んだ。すべての色合いがとっても甘くて綺麗。
中野さんはわたしよりずっと年下の友だちなんだけど、最近はまるで先輩のような気がしている。素早くセンス良く作品を仕上げる彼女。それだけじゃないところが中野さんで、書くことだって本書を読めば誰だって達者な筆遣いに感心するに違いない。

最初の「トップクリエーターの場合」では現在活躍しているクリエーターの人物と作品が紹介されている。仕事をしながら時間をやりくりして作っている、家事育児をこなしながら作っている、リタイア後に地方で暮らしながら作っている、などなどいろんな立場の人たちの制作風景が厳しくも楽しそう。

苦労して出来上がった作品を売るのにはどうしたらいいかが次の課題で、ウェブサイト利用について詳しい説明がある。
作品の写真撮影、商品の包装のしかた、説明文の書き方、いっぱいやることがあるのを丁寧に手取り足取りという感じで教えてくれる。
出品の仕方の詳しい説明に、順番にやっていけば出品できそうと思ってしまった(笑)。
品物の配送方法、価格の決め方、確定申告にもふれていてほんとに親切丁寧な本です。
(監修:菅村 大全 グラフィック社 1600円+税)

Carolar’s fan Book『Flung Out Of Space』を読む幸せ

去年の暮れに『キャロル』(パトリシア・ハイスミス、柿沼瑛子訳、河出文庫)を読んでからずっと『キャロル』にひたっている。その次に映画を見た。映画館で映画を見るのは久しぶりですごく上質な恋愛映画だった。
それからはツイッターで映画『キャロル』を何回見た何十回見た何百回見たとの共感のツイートがたくさんあり、英語版のDVDを楽しんでいる人もいて羨ましいかぎりだった。その後アマゾンで字幕版のBlu-rayが出るのを知りすぐに申し込んだ。
大阪でキャロラー会が発足したというツイートを横目で見ていた。友人に行くんですかと聞かれたけど、いくら厚顔なわたしでもこのトシでのこのこと行くのもね、ということでツイートを羨ましく読んでいた。

キャロル合同誌『Flung Out Of Space』の発行を気にしていたのだけど、申し込みが遅れて1回目の締め切りに間に合わず増販の申し込みに滑り込んだ。届いたのが9月30日だった。
『キャロル』の本と同じ大きさで表紙のカバーと帯がそっくりな出来栄えである。すごい本格的。プロローグからはじまって第一部、第二部とエピローグまで、文章とイラスト(カラー版たくさん)とコミックで構成されている。書いているのはすべてキャロラーさんたちである。文章力がすごい、絵を描く能力がすごい、その力が結集した本である。「好き」という原動力が文章を書かせ絵を描かせているのを感じる。(ベタ褒めです。)

裏表紙の言葉がすべてを語っていると思うので引用する。
【今日キャロりたい・・・と思ったあなた。この一冊でこれから毎日キャロれます。(中略)映画『キャロル』をこよなく愛する者達によって創られた渾身の一作】
本が届いてから今日まで毎日あちこち読んだりイラストを眺めたりしていたが、なかなか紹介記事が書けないでいた。今日になってふと思った。毎日楽しんで読んでいると書いたらいいんや。わたしの大切な生涯に何度でも読む本に加えて。

台風18号去って、吉田喜重熱高まる

昼間は蒸し暑くてやりきれなかったけど、晩ご飯後は涼しくなった。ご飯前にえらく風が吹いて雨が降り込んだが、いまは静か。半袖Tシャツを着ていたら寒いのでカーディガンを羽織った。
食後に『週刊現代』をばたばためくっていたら、自分の中からもっと落ち着いてちゃんと本を読もうよと呼びかける声が聞こえたような気がした。梅雨の頃から読みかけて置いてあった吉田喜重著・蓮實重彦編『吉田喜重 変貌の倫理』が読みかけのまま置いてあるのに気がついた。狭い部屋の一角だからいつも見えているが、暑いと見えないんだわ。ああ重い本を買ったものだなとぱらぱらと読んだところを読み返した。蓮實さんとの対話が楽しい。
しかしまあ、この重たい本をジュンク堂で現金(3800円+税)で買って持って帰ったんや。すごい吉田熱だった。
吉田喜重の映画を全部見たいというているわりにまだ半分くらいしか見ていない。これも課題だ。ネット検索したら2014年10月に岡田茉莉子さんとともにお元気な記事があった。

検索を続けたら「放送文化基金」というサイトがあった。吉田さんは「テレビドキュメンタリー番組審査委員長」をやっておられ、『ETV特集 薬禍の歳月〜サリドマイド事件・50年〜』(NHK)で最優秀賞と演出賞を受けたNHKディレクターの石原さんと対談されている。今年の9月16日なので最新のお写真を見られてうれしい。内容はこれから読むんだけど。

涼しくなったせいかちょっと理屈っぽいことも理解できるようになった。
秋だからと食べてばかりいないで勉強もしなくっちゃと身を引き締める。
明日は姉の介護に行く。

グリーンスリーブス

昨夜深夜に2回目の『秘密の花園』を見ていた。全体が大好きな映画なんだけど、台所でグリーンスリーブスの歌声が流れるシーンが好き。外には春の風が吹き、広い台所で使用人たちが働いている。そこに歌がゆっくりと流れたのでびっくりしたがとても場面に似合っていていいシーンだ。久しぶりにきいたグリーンスリーブスでいろんなことを思い出した。

この曲はわたしが若いときに曲にはまったく関係なく曲名を知った。ドロシー・L・セイヤーズ浅羽莢子訳『学寮祭の夜』(創元推理文庫)(わたしがこどものときから大切にしていた本は訳者が黒沼健さんで『大学祭の夜』)で、ピーター卿がハリエット・ヴェーンにプレゼントする骨董品店で梱包を待っているときに小さな楽器で弾いたのがグリーンスリーブスだった。ピーターのテナーに合わせてハリエットも歌う。どんな曲が調べるすべもなく何十年も経った。

イギリス児童文学にはまったのはいまから思うと何十年前のことだが、アリソン・アトリー『時の旅人』で歌われていて感激した。ずっと過去のスコットランド女王の時代と現代を行き来するお話なんだけど、グリーンスリーブスは過去の時代に、その時代の新しい歌であった。

それからまた、いまから7年くらい前のことだが、ジャズの店SUBで店主でベーシストの西山さんが「好きな曲を演奏してあげる」と言ったときに、間髪を入れず「グリーンスリーブス」と言ったものだ(笑)。実はこの曲はコルトレーンがやっているのをレコードで聞いていたので言うたんやけど。ちょっとびっくりされたけど弾いてくださり、演奏後「ええ曲や」と言われたのを大切に覚えている。亡くなるまで何度も演奏してもらった。

アニエスカ・ホランド監督『秘密の花園』

先日古い文庫本からフランシス・ホジソン・バーネットの『秘密の花園』をiPad miniに入れてもらった。文字も紙も古びてたので読みやすくなってありがたい。何気なしに最初のページを読んだらいつものことで最後まで一直線。読み終わったら次は映画を見たいなあとアマゾンプライムを調べたら、400円払えば今日と明日見られる。さっそく見始めていま見終わったところ。

アニエスカ・ホランド監督1993年の映画。この監督の映画は他に見ていないが、イギリス ヨークシャーの自然と少女と少年を描いてとても美しい映画だ。
インドでこどもに無関心な両親に育てられた少女メアリー、コレラの流行で両親が亡くなり、助かった彼女はイギリスの伯父に引き取られた。ヨークシャーのお屋敷には妻を花園の事故で亡くした伯父と息子のコリンがいたが伯父は孤独に旅に出ることが多く、いとこのコリンはいつ死ぬかわからない恐怖に震える病弱な少年だった。

メアリーが着いたときはまだ寒かったが、召使のマーサにもらった縄跳びをしながらメアリーは飛び回り「秘密の花園」のありかを突き止める。そこはコリンの母が亡くなった場所で、それ以来伯父が閉鎖していた。
メアリーが花園を見つけたのは春がくる少し前のことで、そこで枯れ草の下に生え出した花々の芽を見つける。やがて春が来て、外に出るのを怖がっていたコリンが花園を見たがり、マーサの弟ディコンの助けがあって花園は3人のこどもたちの笑い声で満ちる。

明日もう一回楽しもう。メアリーちゃんの着てる服がすてき。ロンドンからのお取り寄せかしら。

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誕生日だから『キャロル』

ここまできたらもうどうってこともない誕生日、めでたくもありめでたくもなし。行こうと言っていた外食はお店が日曜日休みで、家飲みに変更。
相方がご馳走してやると買い物に行って白ワインとカルパッチョと野菜料理が山ほど出た。姉と妹から「おめでとう」の電話があって、甥から「おめでとうございます。いくつかは、さておき、これからもお元気で」とメールがあった。姉はお金を渡すから自分で欲しいものを買うようにとのこと。

さて、誕生日やから映画見ようということになって(誕生日でなくても見ているが)、10日ほど前に届いた『キャロル』を初見しようと決めた。わたしは3回目、相方は2回目だが、全然飽きないで最後まで見た。好きという気持ちを暖かく描いたとても素晴らしい映画だ。行き届いていて隙がない。

ツイッターで「キャロラー」という言葉を知った。言葉通りにキャロルとテレーズに入れ込んだ女性たちのことだ。キャロラーが集まって語り合う会が大阪と東京で何度も開かれている。
そして、今度は本(キャロル合同誌)『Flung Out Of Space』が出版された。「24人のキャロラーによるキャロルとテレーズを中心に紡いだ物語」だそうだ。わたしは注文するのが遅れて、初回は品切れなんだけど、増版するのでちょっと待つことになったが楽しみだ。これが自分へのバースディプレゼント。

暑いけど元気

この暑さの中を、よく眠れるし、よく食べられるし、その上に、よくしゃべり、よく読み、ありがたいことである。
今朝アマゾンに本(四方田犬彦『ニューヨークより不思議 』(河出文庫)を注文したら、お急ぎ便なら今日届くとあったのでびっくり。落ち着いて「お届け日時指定便」にして明日の午後にほしいと時間指定した。配送状況を確認したら関西の拠点から配達してくれるようだ。なるほどである。急ぐのなら今日注文で今日届くのだ。そんなにいそがんでもかましまへんで。
ということで、明日の夜は四方田さんのニューヨーク話が読めるのだ。うれしいな。

今日はマイケル・カニンガムの『この世の果ての家』を数日かかって読み終えたので感想を書こうと思っていたら、天皇の言葉をラジオで聞いて、そのあとはツイッターで皆様の意見を読んでいた。それと311以来ずっと読んでる『週刊現代』が今日出たのでコンビニで買ってきて読んでいる。テレビと新聞の代わりに、週刊誌と有料ネットニュースを2つ買っている。

明日は四方田さんの本は待ってもろて優先的に『この世の果ての家』の感想やな。厚くて字が細かくて読むのが難行やったけど、難行を乗り越えられる内容やった。

『日本会議の正体』をまだ全部読んでない

今夜は風がよくとおって涼しい。満月がまだ見えないので待っているところ。あちこちのマンションが邪魔になって上のほうに上がらないと見えないのだ。

青木理さんの『日本会議の正体』(平凡社新書)を読みだしてから10日以上経ってしまった。ミステリの読みかけをおいて読んでいるというのにどんどん読みすすめない。内容に圧倒されている。用心深い書き方にも影響されて慎重に読んでいる。

途中で祇園祭があり、この時期になると開く川端康成『古都』を最初からまた読み通した。寝る前の読書は漱石の『草枕』をiPad miniで読んでるところ。どっちも何十回目だ。『草枕』の最後のシーンを読んでいたら、蓮實重彦『伯爵夫人』を思い出した。戦争がはじまるときの知識人の胸に頭に浮かび上がるもの。開戦前の気分が両方の作品から感じとれる。その感じがわたしにもわかる。もしかして、いま。

ようやくヴィク・ファン・クラブの会報づくりをあと2ページまでやった。暑いとスピードが落ちて毎日2ページずつしか進まない。今月はA4で18ページ。
クーラーつけていても、パソコン関連機材に囲まれているから暑い。
でも今夜は風が通って涼しいから、これからコーヒー飲んでもうちょいがんばろう。

祇園祭やさかいに川端康成『古都』を読む

先日姉と話していたら妹と電話で朝日新聞の連載小説の話で盛り上がったという。昔みたい。そう昔みたいに姉と妹はいまだに朝日新聞である。昔は親たちも子どもたち7人もみんな連載小説を愛読したものだ。晩ご飯は連載小説の話題とともに(笑)。

川端康成の『古都』は1961年10月から朝日新聞に連載された。そうか、60年安保の翌年か〜
安保闘争のあと、わたしがしょぼんとしていたときの気分に合ったんだろうな。そのころは小さな会社で働いていて、言うならばひまわり娘みたいな存在だった(笑)。京都から通勤していた同僚の男性が祇園祭に誘ってくれ、祭りの後は古い町屋の自宅に泊めてくれた。『古都』を愛読していたわたしは千重子の気持ちになって祭りの人混みの中にいた。

次に祇園祭の京都に泊めてもらったのは70年代になってジャズ喫茶マントヒヒに通っていたときだ。マスターの木村さんと常連たちと京大西部講堂でのコンサートの帰りに飲んだ後に木村さんんの下宿先に泊まらせてもらった。関大教授で関大ジャズ研顧問になった木村さんが京大大学院に学んでいたときだ。

祇園祭をもう一つ思い出した。やっぱり70年代だったか、西部講堂で催しがあり、あんまり面白くなくて早めに引き上げた。そのとき街は祭り一色だったがあまりにも暑くて、今日はもうええやんと帰ってきた。
それ以来、祇園祭はニュースで知ってるだけである。

夏になると『古都』を引っ張り出す。文庫本が傷んでくると新しく買い直して読む。電車で出かけるときはバッグに入れておく。
古都・京都に生きる千重子と苗子、父と母、竜助と真一、秀男、竜助の父、みんな好きどす。こんなに愛読している新聞小説は他にない。

四方田犬彦『ひと皿の記憶 食神、世界をめぐる』

四方田さんの本を何冊か読んだがいろんな事柄について関心の広さ・深さに感心するしかない。四方田さんの人物紹介を読むと、学問や映画など文化部門の最後に「食」がある。そうだ!次は「食」についての本を読もうと思って選んだのが本書である。文庫でぎっしりと文字が詰まっているがとても読みやすかった。カバー絵も楽しい。

子どものときに祖父母に連れられていった奥能勢の鮎料理からはじまる食の話に惹きつけられた。日本の食についてから自由自在に広がる韓国や東南アジアで現地の人々と同じ食卓を囲んで食べた辛い料理の数々について。ピョンヤンで食べた朝食の話に感動した。
イタリアでは料理を習うためではなく料理学校に通う。そしてイタリア各都市のうまいもの(例えばナポリの蛸)から話はロンドンにとび、ロンドンの鰻を食べる話。オスロではいちばんいい季節と言われて鱈を食べる。
最後はフランスで、パリの朝市の話からはじまり、ボルドーではかのフォワグラを食べ、そしてフォワグラを買って新幹線でパリのアパートへ帰り、店で聞いたやり方で料理する。そのあとはプルターニュのクレープから出雲の蕎麦粉へと話題は広がる。

あまりにも広範囲なので話題についていくので必死(笑)。ひとつだけよくわかったのはビーツ!! 笑った!! パリの朝市は野菜が豊富。アーティチョーク、ミント、トマト、葱、ビーツについてコメントがある。笑えたのはビーツを食べ過ぎて便が赤黒くなったという話だ。大学病院で診てもらってビーツのせいとわかってほっとしたって。谷崎潤一郎も同じような目にあったとエッセイに書いているって。
(ちくま文庫 840円+税)