室生犀星『山吹』のふたり

道を歩いていているときにちょっと脇へ寄ってなんとなく空を眺める。青い空に白い雲が浮かんでいたらラッキー。運良く昼の月が見えたら気分がよい。雨雲が見えたり向こうのほうが曇ってきていると、雨になるから帰って洗濯物入れなくてはと気がせく。

夕方には月が見えないかなとぐるっと空を見渡す。天文の知識がまるでないから見えたらラッキーというだけだ。うちのベランダからは西から南方面と上空が見える。お月さんが西にあればいうことないけど、この半月ほど見えたことがない。時間をずらせば見えるだろうが、夕方から深夜にかけては全然見えない。寝坊だから家で明け方見るのは無理である。徹夜で遊んだ帰りに明け方の月を見るのが好きだが、この頃はそれがないので寂しいかぎりである。

月と木星がセットで見えてたときが懐かしい。あれは春か夏のことだったかな。
「月齢カレンダー」を見るのが好きだが、参照しようにも月が西の空に見えないのだからしょうがない。月にまつわる話をあれこれ読むばかり。俳句や和歌を読んで気持ちをうろうろさせる。

思いがたどるところは、室生犀星『山吹』。ふたたび会えた男女は都でいっしょに住むようになるが、おとこが病いの床につきさきが長くない。ふたりは月を眺めている。千年あとでも、ひとは月を見て語るのだろうか、とふたりは語り合う。
『山吹』の男女が語り合ったときから千年経っているかしらないけれど、いま、月を見て同じことを思ってますよとあのふたりに伝えたい。

アラジンのオーブントースター活躍中

長い間普通のトースターを使っていたが、大き目のパンを横にいれようとするとつっかえ、縦に入れるとはみ出したぶんは焼けないしナンギだった。
やっぱりオーブントースターがいるとなってネットで探した。せっかくだからちょっとおしゃれなのが欲しい。ということでこれいいねと3機種選んで検討したんだった。
値段もそこそこだし、これにしようと決めたのがアラジン。配達してもらわなくても買って即持って帰るからと相方が出かけた。
ネットでは3色あったが、店には黒しか置いてなかったそうで、「黒」といってもチャコールがかっていて粋だ。3色見てもこれにするとのこと。

さて、それからは、毎日機嫌よく使っている。ダンナがですが・・・。料理をするように皿のような鍋のような容器がついているのも便利だ。手袋も買ってきたし。持ち手のついたまな板みたいなのも買ってきて、毎日使っている。

蕎麦を食べる日と代わりばんこにオープントーストをつくってもらって食べている。一日置きにカフェメニュー(笑)。女性誌の料理特集をいろいろ買って研究しているからうまい。パンの上にのせるものがユニーク。

マーティン・スコセッシ監督『ニューヨーク・ニューヨーク』

ロバート・デ・ニーロとライザ・ミネリ主演の1977年の映画を日本での上映を待ち構えて見に行った。今夜はレンタルブルーレイで見たのだが、記憶とちょっと違っているような気がした。自分に都合よく覚えていただけかもしれないけど。
サックス奏者のジミー(デ・ニーロ)がアフリカ系ミュージシャンとともに演奏するときのシーンが記憶に残っているのだが。もう40年も経っているのだから自分勝手な記憶かも。

1945年日本との戦争に勝った戦勝記念日のニューヨークはたくさんの人出で賑わっていた。ジミーは、うろうろしているうちにテーブル席に一人座るフランシーヌ(ライザ・ミネリ)に気づき強引に誘う。ジミーはサックス奏者でフランシーヌは歌手だった。二人は共にビッグバンド楽団に入って田舎まわりのツアーに出る。ツアー中に結婚。ジミーは演奏はずば抜けているが短気でバンドのメンバーと同調できない。機嫌よく歌っていたフランシーヌは妊娠がわかりニューヨークに帰るという。結局二人は離婚してそれぞれニューヨークに帰る。
レコード会社の偉い人がフランシーヌの歌と容姿を認めて後援し彼女は大衆的な人気を得る。

数年後にはジミーもバンドと店を持ち成功している様子でフランシーヌの舞台を観にくる。
最後にジミーが一緒にご飯を食べようと誘い、楽屋口で待っていて彼女が来ないのに気がつく。

明日はもっと寒くなる

今年の秋は徐々に寒くなるのではなく突然寒さがやってくるのでおどろく。昨日は起きたとき寒かったので、綿入れっぽいコートを着て出かけたらちょうどよかった。明日の土曜日はもひとつ冷えるそうで、日曜日はもっと冷えるとニュースでいっている。いよいよダウンコートの季節になった。12月になってないのにはやすぎ。

今夜から寝具も厚手に換えよう。夜中に寒くて目がめたら困る。なんて考えていたら笑ってしまった。寝付いたら朝まで目が覚めないあたし。昨夜は1時過ぎに寝たが、今朝目が覚めたら11時過ぎだった。あまりにも熟睡したので自分で自分がおかしい。もっともハンナ・アーレントの映画を見たおとといの夜は寝付けなくて4時間しか寝てないからプラスマイナス計算は合ってるか。

エアコンからガスファンヒーターに切り替えたらすごく暖かくなった。暖房代が心配な日々が続く。今年は厳しい寒さになるんだろうな。ひざ掛け毛布も出してある。

今日は寒かったが

昨夜は遅くなってから映画『ハンナ・アーレント』(マルガレーテ・フォン・トロッタ監督)を見た。当然寝るのが遅くなったが、興奮してしまい眠つけなかった。お風呂に入ってウィスキーをちょびっと飲んでも眠れない。哲学者ハンナ・アーレントの凄みと強さが頭をぐるぐる。
あれだけのユダヤ人たち知識人たちからものすごい批判を一身に受けて真っ向から自説を述べる。その説をきちんと読まなくてはいけないと思った。知ることが第一歩だ。

そう決心して明け方眠りについた。今日木曜日は姉の家に行く日なので早めに起きた。疲れていても約束してる。ビルから外に出るといきなりすごい冷たい風にさらされた。タクシーの運転手さんが車に乗っている間は暖かいですよって。姉の家への来訪8年目にして、タクシーを利用している。梅田で姉の買い物をしてまたタクシーで、どっこいしょ。

いつも帰りに時間が合って乗るタクシーの運転手さんがこれおいしいよとクロワッサンをくれた。クロワッサンで有名なパン屋があるんだって。ご飯のあとでコーヒーをいれて食べたら気持ちが温もった。なにかお返しをしなくては。

マルガレーテ・フォン・トロッタ監督『ハンナ・アーレント』

長いことハンナ・アーレントの本を読もうと思いつつ読んでなかった。どういう人かも知らず、東京で映画が上映されたのをニュースで知って見たいなと思ってから数年経っている。
女性の思想家でよく読んだのは、シモーヌ・ド・ボーヴォワールとシモーヌ・ヴェイユ。それにジュリア・クリステヴァを少し読んだことがある。だけどハンナ・アーレントの本は読んでなかった。反省。

相方がいい映画だというので『ハンナ・アーレント』のネット紹介記事を読んでいたら、即、見なあかんと思った。ネットで見られてよかった。格調高い映画だった。今夜はハンナ・アーレントに鼓舞された。

今日は書いてる時間がないので、感想記事はまたそのうち書くつもりだが、映画の中でハンナがいった言葉に笑ったので紹介する。
ハンナの夫ハインリヒは高校卒業前に徴兵され、その後ローザ・ルクセンブルグ率いるスパルタクス団に参加。独学でマルクス主義やシェイクスピアを学んだ。映画業界で働いていたこともある。フランス亡命中にアーレントと出会う。その後アメリカに亡命、大学の哲学科教授である。彼らの家に来客があって会話中、自分は大学行ってないからと彼がいうと、ハンナは「思想家に学位は必要ない」と答えた。そうだそうだ。

白いご飯に海苔は黒く梅干紅く

雨の一日、おやつはリンゴと柿とビスケットとコーヒー。晩ご飯はグレ(メジナ)を焼いたんと温野菜いろいろと大根葉とちりめんじゃこを炒めたんで冷酒を少々。グレは皮は黒いけど身は白く繊細でうまかった。
さて、おかずを食べてしもた。ご飯はこの間買った新米の白米を炊いた。だが味噌汁つくるの面倒だ。こういうときのために海苔があるがな。妹が毎年年末に送ってくれる東京大森「守半」の焼き海苔がまだ残っている。好きなだけ食べよう。有機栽培の大粒梅干しもあるで。
炊きたてご飯のおいしいこと! 白いご飯に海苔と梅干しがあればいうことなし。最後に三年番茶を淹れた。雨があがって冷えてきた。まだまだ今夜は『荒涼館』を読みまする。

楽しい食事、話題はアフリカ

夕方Kさんと相方と3人で食事の約束をしてあるので急いで支度して堀江へ出かけた。
アブサンで美味しいお酒と地中海料理を食べながらおしゃべり。気を使わないでゆっくりとしゃべって食べて、楽しい夜だった。Kさんの話し上手で聞き上手を見習いたいものだ。

話題はあちこちしたけど、アフリカの話が主になった。うちらは雑誌『WIRED』の特集記事「ワイアード、アフリカにいく」からの話題や質問だったけど、Kさんの話は現実のアフリカだから重い。アフリカの現在の様子がわかってすごく勉強になった。
Kさんの娘婿さんが来日して空港で娘さんと喜びの再会をした動画を見せてもらった。「愛」が二人の姿かたちになって表現されていた。

「Vic Fan Club News」製作中

毎月、つまり年に12回出しているヴィク・ファン・クラブの会報の11月号をいまやっている。ふだんは12ページから16ページだが、先月は原稿が多くて20ページなりレイアウトが大変だった。いつもは同じ体裁に仕上げるところを、特集記事だったからレイアウトを変え書体と文字サイズを変えて6ページに仕上げ、空間ができたから原稿を書いた。そのへんは臨機応変。

毎月10日〆で15日発行といっているが、なかなかうまくいかず20日過ぎになる。先月は月末ギリギリに配達された。それにはわけがあって、そんなことはもうないと思うが、大変だった、よくやった。

あれだけバタバタしたんだから、一回休んだらどうかと思うが、一回休むと休みっぱなしになりそうでこわい。まあ今月は届いている原稿でなんとか仕上げる。こういう読み物は新鮮さが魅力だと思うので毎月頑張らなくっちゃ。老骨に鞭打って(笑)。

ディケンズ『荒涼館』をまた読んでいる

押入れに積んである本を入れた段ボール箱を片付けるためにぼちぼち出している。14箱目を開けたらディケンズと池波正太郎が入っていた。それは数日前のことだったが、『荒涼館』の表紙を見たら辛抱できない。さっそく1〜4巻あるのを読み出した。1冊目のはじめと4冊目の終わりを懐かしく読んだ。好きなところはよく覚えていてもう一度楽しむ快感に酔った。いま2冊目を読み出すところ。うまくできたストーリーに引き込まれる。

いろんなお屋敷や上流家庭のそれぞれの台所事情を読むと、『高慢と偏見』だって裏側というか使用人側はこんなんやったのかとかいろいろ勉強になる。
そしてロンドン貧民街の貧しい人たちの暮らしや、上流中流からそこへたどり着いて貧しく暮らして死んでいった人の生涯の悲しさもある。

主人公エスタのまっすぐな気性と苦難から逃げない生き方が素晴らしい。子供のときから頼るものなく生きて、運良くというか、それしかない生活をするしかなくて、でも真面目な大人に好かれ支持される。ディケンズの女性主人公たちの中でいちばん好きだ。この調子で今回も2巻3巻を続けて読んでしまおう。