麗しい姫君が美しい衣装に黒髪を散らして苦悩する。源氏の君に抱かれるやんごとなき姫、罪を悔いつつも恋の歓びにもだえる人妻。大和和紀さんの絵が素晴らしい。
Cさんからどばっと宅急便で届いたときはびっくりしたが、あっと言う間に読み終えた。最初はストーリーがおもしろいのでどんどん読み、二度目は味わいつつゆっくりと読んだ。勝手な感想だけど、マンガは文字を読んでいくのよりずっと早いので忘れてしまうのも早い(笑)。最後までいき二度目を読んでいるうちに、味わいかたを自分で調整したらいいんだと気がついた。当分は現代訳を読まなくてもいけそう。原文を読むのは岩波文庫を捨てたときに諦めている。
紫式部はすごい人だと改めて感じ入った。
物語の骨組みがすごくしっかりしてる。女人たちのタイプがそれぞれのタイプの典型である。女性たちそれぞれの生き方がいきいきと描かれている。その上でどうしようもない運命に翻弄される。
論理的な頭脳の人だ。式部本人は論理的な人で、書かれているのは情緒的な人な感じ。20世紀の吉屋信子が似ていると思った。
好きな女人はだれかしらと考えたが、どなたも好きで、どのかたがいちばん好きと言いにくい。
物語の中では「野分」が好き。
今回、源氏物語よりも宇治十帖のほうが好きになった。
(1〜13 講談社)