はじめて見てから20年以上経ったいま見ても素敵な映画だった。E・M・フォースターの小説を映画化した1985年の作品。
映画のシーンよりもよく覚えているのは、VFC会員たちと空いた地下鉄車内での会話。わたしが「眺めのええ部屋」と大阪弁で言ったのが大受けしてみんな笑いが止まらなかった。いまも思い出し笑いしてしまう。そんな大笑いでもしなきゃ、行儀が良過ぎる(笑)。
そして次に思い出すのはダニエル・デイ=ルイスのイギリス紳士ぶり。すぐにファンになっていまに至る。まあ、リンカーンは見たくないけれども、いろいろと見てきた。
ヘレナ・ボナム=カーターは若くてきれいなのは当たり前だったけれど、「英国王のスピーチ」では相変わらず気品があって、最近のほうがファンになっている。
ストーリーは、イギリスの令嬢ルーシー(ヘレナ・ボナム=カーター)が親戚の老嬢シャーロット(マギー・スミス)をお目付役にイタリア・フィレンツェへ旅する。ペンションの部屋からの眺めが悪いと食堂で苦情を言うと、先客のエマソン氏が息子と自分の「眺めのいい部屋」と入れ替わってくれた。
ひとりで街に出たルーシーはエマソン氏に会って話をするが、愛について語る彼の言葉を理解できない。エマソン氏は息子ジョージ(ジュリアン・サンズ)がルーシーに惹かれているのを知ってなんとかしたいのだが。
広場で喧嘩があり、血だらけの若者を見て気を失ったルーシーをジョージが抱きとめる。礼は言ったもののルーシーはつんとして宿へ帰る。
宿泊客たちは馬車に乗って田舎へピクニックへ行く。だれもいないところで出会ったふたりは抱き合うが、シャーロットに見られてしまう。シャーロットは誰にも黙っていようと言いつつ、作家の友人にしゃべってしまうのが、のちにそのシーンが本の中に描かれているのをルーシーが知る。
英国に帰ったルーシーはセシル(ダニエル・デイ=ルイス)と婚約。彼は本だけを愛する紳士だった。
不思議な縁で隣家に越してきたのはエマソン父子で、ジョージはルーシーの弟フレディと気が合い、テニスをしたりつきあいがはじまる。
ジョージ、フレディ、牧師さんが池で遊ぶところはケッサク。
最後の場面は懐かしのフィレンツェで「眺めのいい部屋」の窓際にいるふたり。
昨日まで読んでいたロマンス小説、メアリ・バログの「麗しのワルツは夏の香り」で、主人公が結婚して田舎の領地に行くと、お屋敷があって花壇があってその先には野原や森があって、湖がある。そういう小説の場所が映像で見られて楽しかった。