ブルース・パルトロウ監督『デュエット』

アメリカでも〈カラオケ〉っていうのをいままで知らなかった。この映画ではアメリカ各地に〈カラオケ・バー〉があってのど自慢のひとたちが競いあっている。賞金があるのでそれで生活している人間もいるみたいだ。まるでハスラーみたいだ。
わたしは一度もカラオケに行ったことがないので知らないけど、元祖日本のカラオケとはえらい違うように思った。

「デュエット」(2000)の監督はグウィネス・パルトロウのお父さんのブルース・パルトロウ。映画の中の父親(ヒューイ・ルイス)は賞金の出るカラオケ・バー情報を知るとすぐに出かけて、さりげなく歌って賞金をものにする。しかもカモを見つけてどっちが勝つか賭けるようにもっていき相手の持ち金を取り上げる。
ホテルで休んでいると電話がかかって知り合いが亡くなったのを知る。ラスベガスの教会で棺に横たわる昔の恋人を見ていると、「お父さん」と若い女性(グウィネス・パルトロウ)が呼びかける。彼女は三代続くラスベガスのショーガール。
その他、神父になろうと思っていた純情タクシードライバーとあっぱっぱなカラオケ賞金稼ぎの女性のおかしな道行き。
疲労のために出張先を見失った営業マンは店にいた女の子にクスリを飲まされて、生まれてはじめてカラオケで歌い興奮しっぱなし。くるまをぶっとばしていて見かけたわけあり男を乗せる。むちゃくちゃやっているうちにふたりの間に友情が育つ。

グウィネス・パルトロウが「ベティ・デイビスの瞳」を歌う。20年くらい前にキム・カーンが歌ってヒットした歌だ。当時ですらベティ・デイビスって誰って聞かれたことがあった。亡くなった姉が大好きだった女優で、わたしは深夜映画やビデオで見られるかぎり見ている。ベティ・デイビスは瞳もいいが唇がなんともいえずセクシー。歌うグウィネスもステキ。

登場人物がみんなそろったラストだが、すんなりカラオケ大会で終らない。ドラマチックな悲しい物語があって、ほんとの最後は明るく出発!!