レジナルド・ヒルがお亡くなりになって今日は葬儀だったそうだ。なんかしんとした気持ちになり追悼読書をした。選んだ本は5作目の「薔薇は死を夢見る」(1983)。ふっと手にしたときうろ覚えだったのでちょっと読んでみたらおもしろくて全部読んでしまった。おかげで他の用事がないがしろになってしまった。
全作品のタイトルを見ていたらダルジール警視シリーズは20冊全部読んでいる。好きなのはどれかと聞かれたら「武器と女たち」と答える。この本は図書館で3回借りている。「骨と沈黙」は最初に読んだのだがだれかに借りたような気がする。他にも数冊は持っていないのがあるので調べて買っておかねば。シリーズ外で「異人館」を図書館で借りた。これも持っていたい好きな作品だ。
静かな男パトリックに関連ある人間たちが、パトリックの利益になるようなかたちで死んでいる。彼は薔薇を愛し薔薇園と広い庭のある古い屋敷を愛している。雇い主の疑惑の訴えで調査をはじめたパスコーだが、妻のエリーとパトリックの妻ダフネはつい最近から仲良くなっている。
エリーはローズが生まれてから、大学講師を休んで家で採点の仕事をしている。そして私立校の前でこどもを背負い〈私立学校は社会の悪だ〉なんて書いたプラカードを持って立っている活動家だ。雨が降ってきたので、娘を私立学校に送ってきたダフネを車に乗せたことからつきあいがはじまる。
会議の出張先からダルジールがパスコーに電話で吠える。【いいか、よく聞け、こっちにはひとり大馬鹿もんのウェールズ人がいてな。そいつはテレビでやたらペラペラと偉そうにしゃべってるんだ。そいつがやりたがっているのは、つるし首と鞭打ちの刑と機関銃をぶっ放すことの他に、警官に令状もなしに昼でも夜でもどこにでも立ち入る権利を与えて、全部の所帯の家のスペアキーを管轄の警察署に預けさせようということなんだぞ! そいつにいわせりゃ、おれは感傷的なアカなんだと。だからおまえさんなんぞは、幸せな星のもとに生まれたことを感謝しろ】
ダルジール、パスコー、ウィールド、ええわ〜 エリー、ダフネもええわ〜
(嵯峨静江訳 ハヤカワポケットミステリ 1500円+税)