P・D・ジェイムズ『原罪 上下 』(4)4年ぶりの再読

先日アマゾンの中古本で買ったP・D・ジェイムズ「原罪 上下」を、読みはじめたらおしまいやからあかんと気持ちを引き締めていたのに、つい忙しいとき手にしてしまった。ジェイムズ作品の中でも特に読み応えの作品である。当ブログ「P・D・ジェイムズ アーカイブ」には4年前に熱っぽく3回にわたって書いているが、いま読んでいてこんがらがる登場人物たちの立ち位置がわかって助かる(笑)。
アダム・ダルグリッシュ警視長、ケイト・ミスキン警部、そしてダニエル・アーロン警部のチームが捜査にあたる。アーロン警部がユダヤ人であることが今回の事件に厚みを与えている。ここまで話が遡るのか、ここまでの怨念を持って生きてきた人がいるのかと胸が痛む。

ダルグリッシュが選ぶ特捜班員は、貴族の肩書きを持っているマシンガム、女性のケイト・ミスキン、ユダヤ系のダニエル・アーロン、オクスフォード大学神学部出身のピアース・タラント、そしてインド系のフランシス・ベントン・スミスと多彩。彼らの生い立ちを知るのも、会話を読むのも、心理状態を知るのも楽しみ。