青空文庫で読んでいる「源氏物語」は「藤袴」までいった。玉鬘(たまかずら)に【尚侍(ないしのかみ)になって御所へお勤めするようにと、源氏はもとより実父の内大臣のほうからも勧めてくることで玉鬘は煩悶をしていた。】というところからはじまる。ストーリーはマンガでわかっているが、文章で読むと美女と男たちの関わりがよりおもしろい。
夕霧が玉鬘に藤袴の花を渡すところが好き。
藤袴が花屋にあるのを見て喜んだのは10年も前かな。父親が入っている施設に行くときに花屋の前を通っていてよく見かけた。そのころから花屋が秋の七草ふうな花を仕入れることが多くなったようだ。わたしが山や野で藤袴を見ることはもうないだろうが、「源氏物語」では永遠に咲いている。
本のほうは「ダロウェイ夫人」を読み終えて、前から持っていてまだ読んでなかった岩波書店〈ペンギン評伝双書〉のナイジェル・ニコルソン「ヴァージニア・ウルフ」を読み出した。著者は「ある結婚の肖像 ヴィタ・サックヴィル=ウエストの告白」を書いたひとで、ヴィタの次男である。
ヴィタとヴァージニアは恋人同士だったが、幼い息子だったナイジェルはただヴァージニアに可愛がってもらっていた。ヴァージニアとヴィタそれぞれの美しい写真に見とれている。
昨日、突然に漱石の「草枕」を出してきて読んだ。
最後に戦争に赴く従兄弟の久一の列車を送る那美さんの言葉に戦慄した。
「死んで御出で」
またこういう時代がやってくるのか。