ロバート・アルトマン監督『ゴスフォード・パーク』

ロバート・アルトマン監督「ゴスフォード・パーク」(2001)のDVDをYさんにいただいた(最近は借り物と貰い物が多い)。ロバート・アルトマンの名前はなつかしいが調べたらあんまり見ていなかった。
「M★A★S★H マッシュ」(1970)、「ロング・グッドバイ」(1973)、「ポパイ」(1980)「フール・フォア・ラブ」(1986)くらいかな。あとは見たような気がするのだが覚えていない。

「ロング・グッドバイ」が大好きで映画館で見たあとにレーザーディスクを買って何度も見た。20年くらい前に出した10号で終った手書き個人紙「キャット・クラブ・ニュース」に「ロンググッドバイ」特集号がある。エリオット・グールドがフィリップ・マーロウ役で、なんと猫を飼っている。その猫がカレー印の猫缶でないと食べないので、深夜にドラッグストアで探している。そんなことを書いて喜んでいた。

「ポパイ」にはヘンな思い出がある。当時仲が良かった友人カップルと4人でOS劇場で見たのだ。Aさんが行きたがったのはアルトマンの映画だったからだろうか。とにかくケッタイな映画でアニメでなく実写のポパイなのだ。オリーブ(シェリー・デュヴァル)の実写がマンガそっくりでおかしかった。いやまあヘンな映画だった。
以上、前置き。

1932年のイギリス、雨の降る郊外の道を車が走っている。伯爵夫人(マギー・スミス)が運転席と主人席を隔てているガラスを叩いて、魔法瓶のふたが開かないというと、助手席の召使いメアリーが車を止めるようにいい、雨の降る中を後部へまわってふたを開けてわたす。すぐにそびえ立つゴスフォード・パークの屋敷が見えてくる。ここでキジ撃ちとパーティが催されるのだ。ゴスフォード・パークの主人マッコードル卿は工場を経営する金持ち貴族で、彼から援助を引き出したい貧乏貴族もきている。アメリカから映画製作者も到着した。
迎えるのは客だけではなく、客にはそれぞれ使用人がついている。玄関から入るのは客で使用人は別の入り口から。
屋敷の上のほうには客がそれぞれの部屋に落ち着くと、使用人たちは地下の使用人の部屋が与えられる。食事のテーブルに座るのは各主人と同じ席順で名前も主人の名前で呼ばれる。上の廊下と階段でつながる下の廊下を使用人たちは歩き回る。

たくさんの客と両方の使用人たちの群像劇である。上ではゆったりと食事とおしゃべりに興じているが、下では上の彼らを快適にするための靴磨きや洗濯やアイロンかけと絶えず用事がある。
だが、使用人たちにも楽しみが・・・それは主人たちのゴシップ、そこまで言っても大丈夫ってこっちが気になるくらい。そして使用人たちの間にも階級がある。

マッコードル卿が死体で発見される。このあとはクラシックなミステリー調でいかにもイギリス人らしい警部が取り調べにあたる。