アン・クリーヴス『青雷の光る秋』(2)

フェア島のフィールドセンターは元灯台を改造した建物で、職員の住宅があり、同時に外からくる自然愛好家やバードウォッチャーの宿泊施設でもある。モーリスは大学で教えていたが、妻を捨て20歳若いアンジェラと結婚してこの地へ来た。アンジェラはBBCの番組でレギュラー解説したり、鳥の本を出版するなど華やかに活動している。
炊事係のジェーンは共同生活していた相手と別れてこの島へ来た。いまは宿泊者の食事を仕切っている。仕事が気に入りここに根付くつもりのところをアンジェラに来年は雇わないと言われる。有力者の寄付を確実にするために彼の縁者を雇うつもりだ。ここの理事長はモーリスだが仕切っているのはアンジェラである。

フランとペレスのパーティは楽しく終り人々が帰りはじめたころ、モーリスの娘ポリーが荒れて人々は気まずく帰ることになった。それでもペレスとフランにとっては無事に楽しくパーティを乗り切れて気分がよい。明け方前にペレスは父親に起こされる。事件だと電話があった、お前は警察官だろ。

鳥小屋と呼ばれている部屋でアンジェラが殺されていた。象牙の握りのついたナイフが背中に突き刺さっており、髪には鳥の羽根が飾られていた。
島は外との交通が途絶えており、ペレスは一人で殺人事件と向き合うことになった。しかも殺人犯は島の中にいる。一人ずつから話を聞くことからはじめるが、アンジェラのすさんだ私生活がだんだん明らかになる。
第二の殺人が起こった。やがて第三の殺人に。

最後はとても理不尽なことになってしまい、読後落ち込んでしまった。
(玉木享訳 創元推理文庫 1200円+税)