レーナ・レヘトライネン『雪の女』(1)

創元推理文庫を買うと去年の末頃から北欧ものばかりを集めた広告が入っている。そのどれもがおもしろそうだ。そんなときに友だちのメールでレーナ・レヘトライネンの「雪の女」を一押しされた。先日梅田を通ったときに紀伊国屋で探したらすぐに見つかった。

今回はフィンランドの女性警察官ものである。フィンランディアくらいしか知らないフィンランドになじめたらうれしいなと読み出した。
首都ヘルシンキに近い海に面した街エスポー、西にはスウェーデン、南にはエストニア、ラトヴィア、リトアニアがある。最近の読書でかなりこのあたりのことがわかってきているので入りやすかった。
本書はマリア・カッリオが主人公のシリーズの4册目で、前の3冊ではいろんな職業についているが、本書からはエスポー警察の一員となり、仲間たちと経験を重ねていくようだ。次の作品の翻訳が決まっているそうなので楽しみ。

エスポー警察の巡査部長マリア・カッリオは大学に勤務しているアンティ・サルケラと結婚している。ふたりの結婚式のシーンから本書ははじまる。アンティの姉さんに姓について聞かれて、アンティは「ぼくたち、夫婦別姓にしたんだよ」と答えた。

セラピストのエリナ主催の講座にマリアは講師としてロースベリ館に招かれる。館の壁や庭がバラに覆われているロースベリ館は男子禁制のセラピーセンターとして知られている。エリナのおばアイラもここに住んでいる。
20人ほどの女性たちを前にしてマリアは気持ちよく話し終える。

数週間後、マリアが家で休暇を過ごしているところへ署から電話があった。ロースベリ館のアイラからでエリナがいないという。館にいたのはわけありの女性ばかり数人。エリナには詩人の恋人がいたのもわかる。数日後、ガウン姿のエリナの死体がスキーヤーによって発見された。

マリアはどことなく体がだるい。避妊リングをつけているのに生理が遅くなっているのが気になる。
(古市真由美訳 創元推理文庫 1200円+税)