スティーブン・フリアーズ監督『ジギル&ハイド』

先日見たスティーブン・フリアーズ監督の「がんばれ、リアム」が良かったので「ジギル&ハイド」(1996)を引き続いて見ることにしたが、今回もこってりしてた。

タイトルにジュリア・ロバーツとジョン・マルコヴィッチの名前が出ているのでヘンだなと思った。あとでわかったがロバート・ルイス・スティーブンソンの名作「ジギル博士とハイド氏」を召使いの目線で描いたバレリー・マーティンの小説「メアリー・ライリー」の映画化なのであった。

メアリー(ジュリア・ロバーツ)は貧しく育った。父は仕事がある間は優しかったが仕事をなくして酒を飲むようになり娘を虐待する。暴力を振るったあと物入れに閉じ込めてネズミを放ち鍵をかけて出かけてしまう。夜遅く仕事から帰った母はメアリーを抱いて家を出る。いまもメアリーの腕と首筋には父の暴力の痕がある。ジギル邸で朝早くから働いているがそれを幸せだと思う。

外の階段を掃除しているときにジギル博士(ジョン・マルコビッチ)がもどってきて傷跡に目をつける。部屋へいったとき父に受けた暴力について異常に熱心に聞かれる。
博士は弟子のハイド氏の存在を召使いたちに話す。
それからは博士の使いに行かされたりするが、娼館へ手紙を持って行くと女主人ファラデー夫人(グレン・クローズ)にいろいろ苦情を言われる。どうやらハイド氏が娼婦相手に暴力をふるったらしく口止めの小切手だった。
その後にファラデー夫人や貴族が殺害されてメアリーの恐怖は増していく。

19世紀末のロンドンのお屋敷や道路や娼館、市場での屠殺の様子、そして雨や霧の風景がたっぷりあって楽しめた。
ジュリア・ロバーツの映画はあまり見ていないけど、こんな役はめずらしいような気がする。