うまい菜がうまい

うちの両親は関東出身者なので、大阪独自の食べ物をあまり知らずに育った。こどものときに、父が文学好きだったから、だれやらの小説に出てきたと「うなぎの頭と豆腐を炊いた半助」と「はもの皮を入れたキュウリもみ」を大阪の味だと教えてくれた。正月の雑煮は元旦が関東風で二日が白味噌の関西風なんて言ってた。
日常的に食べた菜っ葉類で覚えているのは水菜で、庭の隅っこの家庭菜園(?)で育ったのをクジラ肉と炊いたのをしょっちゅう食べさせられていた。あとはほうれん草のおひたしが多かったな。

ハタチくらいのとき文学の会に入ったときは、兄貴みたいな口をきくのが数人いてなんだかんだと指導してくれたのであった。そのとき大阪生まれの大阪育ちの青年が「うまい菜」を持ってきて「これが大阪の菜っ葉や」と教えてくれた。それ以来、どこにでも売っているものではないが、見かけたら買っていた。
最近、近所に野菜屋を見つけて珍しい野菜も日常的な野菜も買っているのだが、うまい菜があってときどき買う。今日も厚揚げと炊いて食べた。うまい菜、うまい。