二度目を読み終って落ち着いたとき、ダーシーさんとダルグリッシュが似ていると気がついた。ダルグリッシュのシリーズを映画化するならダルグリッシュ警視長の役はコリン・ファースにお願いしたい。
仕事の合間に手元にあった「殺人展示室」を読んでいたら、ダルグリッシュがエマに結婚を申し込むところがあった。まずこれを読んでほしいと待ち合わせたキングズ・クロス駅で手紙を渡す。「わたしはジェイン・オースティンの小説に出てくるウェントワース大佐ではないけれど、これを読んでほしい」という書き出し。おお、こんなことが書いてあったのか、忘れてた。
ウェントワース大佐は最後の作品「説得」で、アンが8年ぶりに再会するひとだ。
ウィッカムは友人のデニー大尉を殺害した容疑で逮捕される。アルヴェストンが一流の弁護士を頼み万全の準備で裁判に臨む。裁判のシーンがゆっくりしっかりと進んでいくが、当時のイギリスの裁判がどんなものかよくわかっておもしろい。
こころと生活をかき乱す事件が起こってもダーシー夫妻の愛はゆるぎないし、エリザベスは家政婦と執事とその他の使用人をきちんと把握している。田舎の屋敷に住むイギリスの紳士階級がどんなものかよくわかる。
ドロシー・L・セイヤーズの「毒を食らわば」でハリエットが愛人を毒殺した疑いの裁判シーンを思い出した。
ダフネ デュ・モーリア の「レベッカ」もダーシーさんみたいに広い屋敷の主人の裁判シーンがあったっけ。そうそうマンダレー館のマキシムさんだ。
ダーシーとウィッカムはこども時代にいっしょに遊んだ仲だが、一方は領主の息子で一方は使用人の息子である。ダーシーは偏狭なほどにまじめな紳士になり、ウィッカムは金と女にだらしない軍人になった。ウィッカムはダーシーの妹ジョージアナを罠にかけようとしたことがあり、ダーシーは交際を絶っていた。その後、にっちもさっちもいかないウィッカムを、つきあっていたエリザベスの妹リディアと結婚させて生活できるようにしてやったのがダーシーなのである。義絶しているとはいえ義弟なのでややこしい。
P・D・ジェイムズは「高慢と偏見」に、とても納得のいく最後を書いてくれたと思う。
今日は印象だけで書いてしまった。もっと消化したらうまく書けるかもしれない。
(羽田詩津子訳 ハヤカワポケットミステリ 1800円+税)