マーク・ハーマン監督『リトル・ヴォイス』

1998年のイギリス映画で、マーク・ハーマン監督は「ブラス!」を撮った人だ。見出してからすぐに「これ見た」とわかった。感想を書いているはずだがと検索したが見当たらない。どうやらテレビで見っぱなしだったみたい。

あれこれ検索してわかったのだが、伝説の歌手のモノマネを完璧にこなせる歌い手、ジェイン・ホロックスのためにジム・カートライトが書いた戯曲で、そのミュージカルはイギリスで大ヒットした。その舞台を見たマーク・ハーマン監督が映画化した。

LVと呼ばれている少女は父の死んだあと自分の殻に閉じこもって母親(ブレンダ・ブレシン)と会話がない。父の集めていたレコードだけが彼女の宝物で、いつも2階の自分の部屋で主にヴォーカルのレコードを聞いて、レコードの歌を完璧に歌える。
電話工事に来た伝書鳩に夢中な孤独な青年ビリー(ユアン・マクレガー)はLVに惹かれる。
母の遊び友だちで落ちぶれた芸能プロモーターのセイ(マイケル・ケイン)はふとしたことからLVの声を聞き、これは売り出せると思う。
いやがるLVを一回だけと口説き落として町のクラブの舞台に立たせると、いやいや出てきたLVは客席に父の幻を見て歌い出す。無口な少女が突然変異の伝法な歌いぶりに客席はのりのり。歌い終わると父は消え彼女は倒れる。翌日も歌うように急かされるが彼女は動かない。

現場労働者で仕事が終わると厚化粧して遊び歩く母親の存在感が半端でない。
最後はしみじみとしてよかった。
このあとの「シーズン・チケット」も良さそう。