パット・オコナー監督『ひと月の夏』

コリン・ファースの映画は「アナザー・カントリー」(1984)を封切りで見ている。若いいい男たちの中でも気に入ったのが共産主義の若者を演じたコリン・ファースだった。でも「ひと月の夏」(1987)は見過ごしていた。「高慢と偏見」(1995)が最高だからそれでいいみたいな(笑)。「イングリッシュ・ペイシェント」ではちょっとだけ、「恋におちたシェイクスピア」もあんまり、「ブリジット・ジョーンズの日記」はご愛嬌みたいな。「真珠の耳飾りの少女(2003)はよかった。アカデミー賞をもらった「英国王のスピーチ」はDVDをお借りしているので、そのうち見る。

第一次大戦の後遺症に悩まされているバーキン(コリン・ファース)は雨の中を走る汽車に乗ってロンドンからヨークシャーの村へやってきた。彼の仕事は教会の壁画復元で、牧師は反対だが教会に復元費用を遺した人がいてやむを得ず頼んだという。
鐘楼に寝泊まりするようになったバーキンが窓から見下ろすと隣の土地にテントが張ってあり若い男ムーン(ケネス・ブラナー)がいる。話すうちにふたりとも大戦の生き残りということで心が通い合っていく。
村の有力者がこどもを通じて気を使ってくれたりして、仕事がはかどっていく。広すぎる牧師館で暮らす牧師夫妻それぞれの孤独が伝わる。
500年前に描かれた壁画はしっくいを落として丁寧に拭き取っていくと元の絵が現れる。牧師の美しい妻にこころ惹かれ、森の道を散歩する夢のようなシーン。しかし猟銃の爆音で戦争の悪夢が甦ったバーキンはひとりで教会へもどる。
ムーンが探していた墓がわかり発掘すると石棺が見つかる。そして葬られた男と壁画の男は同一人物とわかる。
バーキンとムーンの仕事は終わり、ムーンは新しい発掘のためにバグダットへと旅立ち、バーキンはロンドンへ帰る。

ヨークシャーの村で輝く夏のひと月をすごす若者ふたり。ああ、見てよかった!