ユッシ・エーズラ・オールスン『特捜部Q キジ殺し』

だいぶ前に読み終ったのに感想を書いてなかった。少々あやふやになった記憶を探りつつ書こうと思って広げたらなかなかおもしろい。これから友だちにまわすので、もどってきたらまた読もう。

前回の〈檻の中の女〉事件を解決して名前をあげた〈特捜部Q〉のカール・マーク警部補に、上司のヤコプスンは告げる。「オスロ警察から特捜部Qを視察にくるから頼むよ」そして、チームを強化するためローセ・クヌスンという女性を一人入れたという。そういうことにも反発を感じるカール。このローセが常識破りでおかしい。でも仕事はどんどんこなしていく。

キミーという謎の女がいて街を歩いている。駅のエントランスホールで待ち受けてこれっと思ったのはミンクのコートを着た上品な女性で、車輪のついたスーツケースを持っている。乗車券の料金を調べている女性からスーツケースをさっとうばい、外に出てタクシーに乗った。1時間してキミーは見違えるような女になっている。しかし、彼女を見た者がいて今度こそ捕まえろと言っている。

アサドが古いファイルから次に取り組むべき事件を探し出した。1987年の連続殺人事件は18歳と17歳の兄妹が身元の確認もできないほど暴行され殺されていた。容疑者の少年たちの父親はみんな裕福で影響力を持っていた。
いま少年たちは大人になって、民間病院の経営者、国際的に名高いファッション・デザイナー、株式ディラー、亡くなったが船舶会社代表など。同じように有閑階級に属していたキアスティン(キミー)についてはいま誰も居所を知らない。犯行を認めて服役中の一人だけはみじめな人生を送っている。

キミーは麻薬中毒のティーネにお金を払って情報をもらっている。ゴミ箱から拾った女性誌に出ている有名デザイナーのフローリンが、キミーを捜していたとティーネは告げる。

だんだん過去と現在の事件がつながっていく。警察上層部や官僚たちの圧力の中を3人組はひたすら事件と取り組む。
(吉田薫・福原美穂子訳 ハヤカワポケットミステリ 1900円+税)