コリン・デクスター『ウッドストック行最終バス』

2010年になって読んだ「森を抜ける道」(1992)の感想に「ウッドストック行最終バス」(1976)をアメリカのウッドストックと間違えて買って読んだと書いてある。ハードボイルドミステリを追いかけていて、イギリスの本格ものは受け付けていなかったころだ。知り合いの青年に言ったら「ぼくも音楽祭のウッドストックと思い込んで買った」と苦笑いしてた。あれから30数年か、どうしているかしら彼。

コリン・デクスターのモース警部シリーズ第1作である。
ジャーマン夫人はオクスフォードの中心へ向かう道路のバス停で自分の乗るバスを待っていた。若い娘につぎのバスはウッドストックへ行くかと聞かれて行かないと答えると、二人の娘はヒッチハイクしようと歩き出した。
夫人はバスで帰宅し食事をしてテレビのニュースを見て、10時30分にはぐっすり眠っていた。同じ時間にウッドストックのある中庭で若い娘が倒れているのが発見された。娘は惨殺されていた。

オクスフォードからウッドストックへ向かってあと半マイルほどのところに、むかし玉石の上に馬蹄がひびいた古い中庭がある〈ブラック・プリンス〉があり繁盛している。酔った若い客が中庭で車の横の死体を発見しはげしく嘔吐した。

ルイス巡査部長とモース主任警部の登場である。モースはルイスに新聞のクロスワードの解答を見せて自慢する。
【「ルイス、時間の浪費だと思っているのかね?」/ルイスは利口だし、かなり正直で誠実な男だった。/「はい」/人なつっこい微笑がモースの口元に浮かんだ。彼は二人はうまくやっていけそうだと思った。】
そしてモースはダブルのウィスキーをたのむが、ルイスには勤務中だよと飲まさない。そして店にいた全員から話を聞きはじめる。

殺されたシルヴイアの日記に「ライアンの娘」を見に行ったと書かれている。「ライアンの娘」よかった。大好きな映画だ。この映画のころの事件なのか。

ジャーマン夫人はモースの質問に必死で記憶を呼びさます。娘の一人の言葉、「大丈夫よ、明日の朝は笑い話になるわ」それで二人の娘は同じ職場で働いていると推定できる。
(大場忠男訳 ハヤカワポケットミステリ)