アントン・コービン監督『コントロール』

この映画の存在を全然知らなかった。わたしがイアン・カーティスのファンであることを知っているT氏がDVDを貸してくださったのだ。70年代、イアン・カーティスがボーカルをやってたマンチェスターのバンド「ジョイ・ディヴィジョン」は、「クラッシュ」とともにいまでも大好き。レコードの時代の最後のほうだったと思うのだが、輸入版レコードを買って毎日聞いていた。CDの時代になってからやっぱり持っていたいとCDを買ったのを持っている。好きなジャケットデザインがCDサイズになったのがちょっと違和感あったけど。

自殺の知らせを聞いたときはショックだった。だれから伝わったのか覚えてないけど、シーンとした気持ちになったことをいまでも思い出す。1980年5月だった。

「コントロール」は、2007年のイギリス、アメリカ、オーストラリア、日本の合作映画。写真家アントン・コービンの初監督作品である。解説を読んでいたら、俳優たちがほんとに演奏をしていて、イアン役のサム・ライリーはボーカルをほんまにやっているのだ。ビデオやレーザーディスクで見ていたイアン・カーティスそのままのような歌いっぷりだ。はじめからぐんぐん引き込まれてしまった。

イアンとデボラは10代で愛し合い結婚して子どもが生まれた。昼は公務員として障害者のための求職センターで真面目に働き、夜にはバンド活動で狂わんばかりのパフォーマンスを見せすごい人気を得る。レコーディングやバンド活動の幅が広がり仕事を辞め音楽で生きていくことに。ベルギーで行われたアートイベントに参加してイベントの興行主のアニックと知り合いつきあうようになる。それはすぐにデボラにわかり、彼はふたりの間で揺れ動く。

妻と愛人との間で苦悩し、癲癇の発作と鬱病にも悩まされ、死を選んだイアン・カーティス。残ったバンドのメンバーは3人で新しいバンド「ニュー・オーダー」を結成し、いまにいたる。